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2018-02-23 平成30年第1回定例会(第3日目) 名簿
2018-02-23 平成30年第1回定例会(第3日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2018-02-23
    2018-02-23 平成30年第1回定例会(第3日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(柴立鉄彦君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    上 山 貞 茂 君    持 冨 八 郎 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 代表質問 ◯議長(柴立鉄彦君)代表質問であります。  上山貞茂君に発言を許可いたします。    [上山貞茂君登壇](拍手) 3 ◯上山貞茂君 おはようございます。  三反園知事におかれましては、二年目を迎えた今議会冒頭の予算説明で、「県民が主役の県政を実現したい、県民の生活を少しでもよくしたい、その思いで走り続けている」と語られました。県民目線は今の政治に求められていることであり、重要な視点だと同感いたします。
     そこで、知事の政治姿勢以下十項目について、県民連合を代表して質問いたします。  まず、来年度予算についてでございます。  来年度当初予算案は、今年度予算〇・一%増の八千百七億六千二百万円が提案されています。三反園知事が施策の二本柱に据えたのが子育て支援高齢者支援で、子育て支援関連事業は三百四十六億三千八百万円と過去最大規模であり、高齢者の生き生き支援にも過去最大規模の二百六十五億二千三百万円が計上されています。さらに、保健福祉部をくらし保健福祉部と改称し、子育てと高齢者の支援に関する業務を一元化して体制を強化するとしています。  これらの施策は、国及び本県の経済状況・社会構造をどう分析して得られた施策なのか、お示しください。  伊藤前知事は、「小泉政権の新自由主義経済政策以降、一気に労働分配率が下がり、逆に企業は内部留保を高め、働く者のワーキングプアや貧困率を高める結果となっている。本県にあっても、貧富の差が拡大することを憂慮して、教育や医療、福祉、介護などの分野には公的財源や公的支援で県民を守る以外にない。そうしないと県民生活を守れない」とし、農林水産業観光産業振興を二本柱として施策を展開してまいりました。  三反園知事は、二回目の予算編成に当たられましたが、知事の政治哲学、思想、社会情勢の分析についてお示しください。  次に、明治維新百五十周年関連予算が総額七億二千万円と、前年より約三億六千万円の増となっております。明治百五十年記念式典や観光プロモーションのほかに、教育、人材育成、若手研究者への支援も予算化されております。  知事は、明治維新から何を学び、県民に何を伝え、現代社会にどう生かそうとしているのか、知事の考えをお示しください。  続いて、憲法改正についてでございます。  安倍首相の憲法改正論を受けて自民党は、十二月二十日に、憲法改正に関する論点を取りまとめています。自衛隊の明記、緊急事態条項の新設、衆参両議員の選挙合区解消、教育の四つのテーマを含めた改憲案を今通常国会に提案・発議し、秋にも国民投票を行うとしています。  憲法とは何かとの問いに法学者の木村草太氏は、「憲法は、国家権力の失敗を繰り返さないための仕組みである。歴史的に見ても国家権力はほとんど独裁を始める。それをコントロールするために憲法をつくり、憲法の中に、軍事力のコントロール、基本的人権の保障として三権分立というルールを書き込んで、これを守らせようとする。これが立憲主義の発想です」と述べています。また、「日本国憲法は、外交関係の行使を超えた軍事行動を行うことを想定していない。自衛隊は行政機関であり、防衛大臣は防衛行政をつかさどる行政機関と位置づけられてきた」とも述べております。  憲法九条は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」としています。そもそも日本国憲法は軍事活動を行うことを想定していないのです。憲法九条三項に自衛隊を明記し、戦力として規定してしまえば、自衛隊を行政機関というこれまでの国会解釈が大きく変わることになります。  そこで伺いますが、憲法とは何かという問いに知事はどのようにお答えになるでしょうか、ぜひお聞かせください。  また、憲法改正が必要であると考えておられるのでしょうか。また、憲法九条への自衛隊明記に対してどう考えておられるのか、お聞かせください。  次に、大規模スポーツ施設のあり方についてでございます。  大規模スポーツ施設のあり方については検討委員会において議論されていましたが、二月に提言がまとめられ、知事に提出されました。  提言では、総合体育館整備の必要性について、県において早期に整備することが必要であること、機能については、本県のスポーツ振興の拠点としての機能に加え、コンサート・イベントなど多目的利用による交流拠点としての、いわゆるアリーナ的概念の施設であることが望ましいとされています。  まず、この提言について知事はどのように受けとめておられるのか、見解をお聞かせください。  提言の参考意見として、施設の利用に伴い、交流やにぎわいが周辺に波及するようなアクセス環境、周辺の街との連携、鹿児島のオリジナリティーを感じられる施設となるように配慮することが望まれると言及されています。  一方、鹿児島市におけるサッカー等スタジアム整備検討協議会も提言をまとめ、整備の必要性はもちろん、機能についても、多用途に活用できる多様性・効率性を備えることが望ましい、立地条件については、集客性・収益性の観点から都心部に立地することが望ましいとされています。  このように、両提言における機能については考え方が極めて類似しておりますが、どのように調整を図っていくのか、お示しください。  特に立地場所については、両大規模施設の配置について十分な検討が必要と思われますが、整備予定地についてはどのような検討がなされているのか。さらに、総合体育館について、財源を含めた予算、整備手法などいつまでに決定するのか、今後の整備スケジュールについてもお示しください。  米軍機及び自衛隊機の墜落事故等についてでございます。  佐賀県神埼市の住宅に陸上自衛隊所属戦闘ヘリコプターが墜落し、ヘリ隊員二人が死亡し、住宅にいた小五女児がけがを負いました。墜落現場の近くには小学校や幼稚園もあり、住民が震え上がったのも当然です。事故機は、整備点検された試験飛行機であり、何らかの整備ミスを指摘する専門家もいます。鹿児島では二〇一六年四月、航空自衛隊飛行点検機が高隈山系に墜落、乗員六人が死亡した事故も起きています。  一方、オスプレイや米軍機の事故、トラブルも頻発しています。二〇一六年十二月、沖縄県名護市東海岸から約一キロの沖合で、米軍MV─22オスプレイ一機が墜落し大破した事故は衝撃的でした。昨年十月には、東村高江の民間地でCH─53E大型輸送ヘリが炎上し、続いて、最新鋭ステルス戦闘機F─35Aが機体パネルを落下させ、十二月七日には、宜野湾市内の保育園でCH─53E大型輸送ヘリからの落下と見られる部品が見つかっています。鹿児島では、奄美空港及び鹿児島空港に機体不良による緊急着陸もしています。  事故、トラブルが起きるたび、県や市町村は原因究明までの飛行停止や再発防止を求めていますが、地元の意向は考慮されず、訓練を繰り返し、飛行ルートも明らかにされておりません。  こうした米軍機の事故やトラブル、今回の自衛隊機の墜落事故について、県の見解をお示しください。  また、日中及び夜間に米軍が行う空中給油機訓練を鹿屋市長は受け入れていますが、知事は、住民の居住地に近い自衛隊基地での訓練に対して、県民の安全をどのように確保しようとしているのか、お答えください。  脱原発の実現に向けてでございます。  関西電力は、運転開始から来年で四十年を迎える大飯原発一、二号機の廃炉を決めました。今後の施設運用における安全や品質の確保を最優先に考えた結果、廃炉を決定したとされていますが、老朽化原発のリスクは相当高いと判断したものと思われます。県内でも、鹿児島市長といちき串木野市長が、四十年稼働は基本だという趣旨の答弁を議会でしています。  三反園知事としては、四十年を超える老朽化原発の稼働の可否をいつ、どう判断されるのか、お答えください。  一方、広島高裁は、阿蘇カルデラ噴火を捉え、「火砕流が到達する可能性は小さいとはいえない」として、伊方原発を立地不適と断じ、同原発の運転差し止め仮処分決定を行いました。川内原発は、伊方原発と同じ半径百六十キロ圏内に阿蘇カルデラ、加久藤・小林カルデラ姶良カルデラ、阿多カルデラ、鬼界カルデラの五つの活動の可能性があるカルデラが存在しています。  広島高裁の判決を鑑みるならば、川内原発の立地は不適であると判断せざるを得ませんが、知事の受けとめ方をお答えください。  小泉純一郎元首相が顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟が、原発ゼロ・自然エネルギー基本法案の骨子を発表いたしました。立憲民主党も今通常国会で、原発ゼロ基本法案の提出を目指し、各県で意見交換の活動を行っています。その他、原子力市民委員会など原発ゼロ社会に向けて研究、調査、大綱作成など行っている市民団体や、福島原発事故後の健康調査など、放射能汚染の実態調査を行っている民間団体なども多く存在しています。  いずれも、福島原発事故後に、原発の危険性を知り、脱原発こそ日本がとるべき態度であるという機運の醸成のもと、活動が始まっています。将来の世代にツケを回さないためにという思いを胸に、政治の判断として原発ゼロを決めるという道筋を描いているのです。  これらの原発ゼロ法案等の活動及び原発に依存しない社会への道筋について、知事の考えをお示しください。  また、川内原発の廃炉に向けた道筋の必要性の可否についてもお答えください。  以上、一回目の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 4 ◯知事(三反園 訓君)来年度予算の編成に当たっての経済状況・社会構造の分析と、私の政治哲学、思想等についてであります。  我が国は、本格的な人口減少社会の到来や少子高齢化の進行、経済のグローバル化や技術革新の急速な進展などによりまして、社会のあらゆる面で大きな変革期を迎えております。本県においても、平成二十七年の出生数が昭和三十五年の四割以下の水準まで低下し、高齢者人口は十年後に三四・四%になることが推測されております。人口減少、少子高齢化の進行は本県の活力喪失につながりかねないことから、早急に対応すべき課題であると認識しております。  また、全国では、地方創生の取り組みなど、地域活力の維持・向上に向けた地域間競争が激化しております。そのような中で、人口減少や高齢化に対応するために、働きやすい環境や産み育てやすい環境をつくることが重要であると考えております。あわせて、高齢者が健康寿命をさらに延ばし、生きがいを持って暮らせる社会をつくることが重要であり、結果として医療費の適正化にもつながっていくものと思っております。  このような環境、社会を実現することが、鹿児島に住んでよかった、住んでみたい、住み続けたいという人々をふやすことになり、県勢を浮揚発展させ、県民福祉を向上させることになると考えております。  このようなことから、今回の予算編成では、子育て支援と高齢者生き生き支援の二本柱により一層力を入れたところであります。また、具体の施策を考える上では、県民の声をしっかり反映することにも心がけたところであります。  知事就任以来、県民が主役の県政を実現したい、県民の生活を少しでもよくしたいとの思いで、県内各地で知事と語ろう車座対話を初め、さまざまな機会に県民の皆様の声を直接伺い、その声を県政に反映させようと取り組んでまいりました。その中で、さまざまなところで、子育て支援についていろいろな思い、考えをお聞きしました。特に、産科医確保、不安や悩みを抱える母親が相談しやすい環境づくりについては非常に強い要望がありましたことから、その関連施策を来年度予算案に盛り込んだところであります。  また、昨年度実施しましたかごしま子ども調査では、経済的理由によりまして、子供の学習意欲に応えられない、医療機関の受診をためらうといった割合が低所得世帯ほど高い傾向があります。このようなことも踏まえまして、安心して子育てができるよう関連施策を予算案に盛り込んだところであります。  そのほか、明治維新百五十周年、奄美世界自然遺産登録のチャンスを必ず生かして観光振興、人材育成に取り組むこと、TPP11、日EU・EPA発効を見据え、農林水産物の販路・輸出拡大やスマート農業の推進などによる攻めの農林水産業を展開することなど、鹿児島を元気にするための各般の施策も予算案に盛り込んだところであります。  今後とも、鹿児島に生まれてよかった、鹿児島に住んでよかった、そう思える鹿児島を目指し、全力で走り続けてまいります。  明治維新に対する基本認識についてであります。  我が国は、本格的な人口減少社会の到来、少子高齢化の進行、経済のグローバル化や技術革新の急速な進展などによりまして、社会のあらゆる面で大きな変革期を迎えております。時代は異なるものの、本県の先人たちは、幕末という大きな変革期にあって未知の時代を切り開き、明治維新をなし遂げました。明治維新百五十周年を迎えた今こそ、先人たちの志と行動力、時代の先を読む力に学び、自信あふれる、勇気あふれる鹿児島を揺るぎない信念を持ってつくっていきたいと考えております。  明治維新百五十周年の節目となる記念すべき年が幕をあけ、大河ドラマ「西郷どん」の放送もスタートし、国内外からの注目がこの鹿児島に集まっております。この好機を最大限に生かすために、オール鹿児島で官民一体となって、イベント、観光プロモーション、魅力的なまちづくり、機運醸成、情報発信、教育、人材育成等の取り組みをかごしま明治維新博として展開し、鹿児島の総力を結集して、今、鹿児島が直面する課題を克服できるよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。  憲法観等についてのお尋ねであります。  日本国憲法は、国民主権、基本的人権の尊重及び平和主義を基本理念とする国家の最高法規でありまして、これまで広く国民にも浸透しており、我が国が自由で民主的な平和国家として発展する上で極めて大きな役割を果たしてきていると考えております。  憲法第九条を初めとする憲法改正につきましては、憲法審査会など国会を初め、国民の間で幅広い議論が行われることが重要であると考えております。  大規模スポーツ施設在り方検討委員会からの提言についてであります。  新たな総合体育館につきましては、今月六日に、大規模スポーツ施設在り方検討委員会から提言書をいただきました。提言においては、新たな総合体育館の早期の整備が必要であることや、その機能として、本県のスポーツ振興の拠点としての機能に加え、コンサートやイベントなど多目的な利用による交流拠点としての機能があることが望ましいとされました。また、施設の収益性など経済性に配慮した視点やアクセス環境、周辺の街との連携など、今後、整備を検討するに当たっての参考意見も示されたところであります。  この提言は、各界の有識者の方々がそれぞれの立場で熱心に御議論いただき、取りまとめられたものでありまして、大方の県民の方々の理解が得られる内容であると考えております。  検討委員会からの提言を踏まえまして、来年度、基本構想を策定したいと考えており、総合体育館の整備に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。  原子力発電所の運転期間についてであります。  原子力発電所の運転期間は、原子炉等規制法で四十年とされており、国の原子力規制委員会が認めた場合に、一回に限って二十年まで延長することが認められております。そのことを踏まえまして、これまで一貫して、運転期間は原則四十年と申し上げてきております。  広島高裁における伊方原発三号機の運転差し止め仮処分決定に対する受けとめについてであります。  広島高裁の決定については、司法の判断にかかわることであることから、県として申し上げる立場にはないと考えております。  いずれにしましても、本県には川内原発があり、使用済み燃料などもあることから、県民の安心・安全を一番と考え、これまでも防災対策に力を入れてまいりましたが、引き続き、防災対策の充実・強化に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  原発ゼロ基本法案等に対する見解等についてであります。  政党や民間団体などにおいて、原子力あるいはエネルギー政策全般についてさまざまな意見があることは承知しております。政党の政策に意見申し上げることは控えたいと考えております。  国は、現行のエネルギー基本計画において、原子力政策の方向性として、いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げることを前提としております。また、原発の依存度につきましては、再生可能エネルギーの導入などにより、可能な限り低減させることとしております。  引き続き、県民の安心・安全を確保する観点から、川内原発に係る防災対策の充実・強化に全力で取り組みながら、本県の多様で豊かな自然を活用し、再生可能エネルギーを推進することで、原発に頼らない社会づくりに向けた歩みを少しずつ進めてまいりたいと考えております。 5 ◯企画部長(東條広光君)まず、総合体育館サッカースタジアムの機能の調整等についてであります。  総合体育館についての提言は県の検討委員会が、またサッカースタジアムについての提言は市の協議会が、それぞれどのような機能が望ましいかなどの検討を行い、取りまとめたものであります。二つの施設は、主な利用目的が異なっておりまして、何らかの調整が必要であるとは考えていないところであります。  また、整備予定地の検討に関しましては、当初予算案において、県では、総合体育館の整備に関する基本構想を策定するための事業を計上しており、また鹿児島市では、サッカー等スタジアム整備に向け、立地に係る調査等を行うための事業が計上されたと聞いているところであります。  次は、総合体育館の予算等の決定時期及び今後の整備スケジュールについてであります。  総合体育館については、検討委員会の提言を踏まえ、来年度、基本構想を策定することとしており、当初予算において総合体育館基本構想策定事業を計上し、整備予定地や大まかな整備スケジュールなどについてはこの構想でお示しすることとしております。また、整備に係る予算や整備手法については、構想策定後の整備計画や設計の段階で検討したいと考えているところであります。  次に、米軍機や自衛隊機の事故等に対する見解についてであります。  鹿屋航空基地での米軍訓練に参加予定の同型機の事故、不時着や自衛隊機の事故が発生していることは極めて遺憾であります。  県としては、昨年、国に対し、事故の再発防止の徹底等を米軍などに申し入れるよう文書で要請したところであります。また、先週十六日には、九州防衛局に対し、自衛隊機の事故を踏まえた対応も含め、改めて再発防止の徹底等を要請したところであります。  鹿屋基地での米軍訓練については、鹿屋市が、九州防衛局との間で安全対策等の着実な履行などに係る協定を締結しているところであります。  米軍の航空機等の運用については、周辺住民に十分な配慮がなされ、最大限の安全対策をとることについて日米合同委員会で合意されており、本訓練についてもこの合意事項が遵守される必要があると考えております。  県としましては、国が安全保障上の施策を進めるに当たっては、みずから説明責任を果たすとともに、地域の方々の意向を十分に踏まえて対応することについても要請を行っているところであります。 6 ◯上山貞茂君 自席から、二点再質問させてください。  まず、総合体育館についてでございますが、この構想策定というのがどういうスケジュールで、あるいはいつごろ具体的な形で動かれるのかお示しいただきたいのと、今回の提言に関して、全く調整しないという答弁だったんですけれども、確かに総合体育館サッカースタジアムは全く違う施設でございますが、お互いの提言の中身を見ますと、多様性、効率性、集客性、収益性、県のほうでは、コンサート・イベントなど多目的利用、機能的に似通っているわけですよ。ですから、スポーツ的には違うんですが、それに付随した形で多目的な形での利用、これは非常に似通っていることから、鹿児島市と同じような施設を同じような場所につくっていいものかということをすり合わせるべきだということで質問いたしているわけですけれども、鹿児島市と調整しないという理由が全くわからないんですが、答弁を再度求めたいと思います。  もう一点、原発ゼロ法案に対してなんですけれども、確かに政党の出した法案ですから、県としてどうのこうの言うことはないんでしょうけれども、知事としては、これらの動きは喜ばしいことなのか、原発ゼロへ向けた動きというのは、知事としてもその方向性は望ましいと思われているのか、それだけ答えてください。 7 ◯企画部長(東條広光君)総合体育館整備スケジュールについてでございますけれども、先ほど答弁申しましたとおり、来年度予算で策定事業を予算化させていただきますと、その事業におきまして、整備予定地、大まかな整備スケジュール等をお示しすることとしているところでございます。  あと、鹿児島市のサッカースタジアムに関する提言と、県の総合体育館についての調整のお尋ねでございますけれども、これにつきましても、先ほど申しましたように、主な利用目的が異なっているところでございます。サッカースタジアム総合体育館でございますので、二次的な機能という点についての調整が現時点で必要かということについては、私どもとしては何らかの調整が必要であるとは考えていないと申し上げたところでございます。 8 ◯知事(三反園 訓君)先ほども答弁いたしましたけれども、政党や民間団体などについて、原子力あるいはエネルギー政策全般についてさまざまな意見があることは承知しております。政党の政策に意見申し上げることは控えたいと思っております。    [上山貞茂君登壇] 9 ◯上山貞茂君 総合体育館に関しては、お互いにそれぞれの施設ごとに提言が出されておりますので、県民連合としても、鹿児島市との調整、これは調整というよりも、機能をお互いにどうすり合わせるのか話し合いをしてもいいのではないかと思っておりますので、今後もそういった形で話はさせていただきたいと思っております。  あと、米軍の訓練なんですけれども、自衛隊とは全く異なる認識をしていかなければならないと思っております。日本国民の人命よりも軍の命令を優先する、これが日米軍事同盟、日米地位協定の中身です。そうでは困ります。事が起きてからでは遅いです。知事としても毅然とした態度で、まずは県民の安全を守るという視点でしっかりと考えていってほしいと思っております。  次の質問に入ります。  危機管理体制の充実・強化の課題でございます。  一点目には、桜島火山爆発総合防災訓練における教訓と課題でございます。  一月十二日、桜島火山爆発総合防災訓練が行われました。「一人の逃げ遅れも出さないために」をテーマに、湯之港からの桜島フェリーを活用した避難、宇土港からの救難船舶による避難など、全ての地区で各集合場所への避難及び残存者の確認等の訓練が行われました。  桜島総合体育館においては、避難直後、避難して三日以降、避難して二週間の三パターンでの避難所運営の模擬行動を確認する訓練が行われていました。実践的にイメージを想定しやすいような訓練だったと評価するものです。  当日は、一段と寒さも厳しく強風が吹きすさぶ悪天候でした。退避舎には暖房器具はなく、畳やベッドなど横になるための設備も備えつけられていません。避難になった場合、即座にフェリーやバスが来るとは限りません。悪天候を想定し、避難者の体力消耗をできるだけ抑える配慮が必要だと感じました。  訓練全体の総括と避難者保護の視点での課題について、県の見解を求めます。  また、東桜島の湯之港では、外国人観光客のフェリーへの避難誘導もされていました。訓練の評価と課題についてお答えください。  大規模噴火時には、火山灰の大量噴出、地震による道路網崩壊など、桜島以外でも被害が及ぶことが想定されます。国などの検討委員会がまとめた桜島の大規模噴火時の降灰予測では、半径二十キロメートル余りのエリアで五十センチ以上、県本土の全域で十センチ以上の灰が積もるとされています。桜島島民のみの避難訓練だけでは不十分ではないでしょうか。  鹿児島市以外の近隣地域の避難の想定と現実的な訓練、意識の醸成が必要だと考えますが、県の見解を求めます。  次に、鹿児島県原子力防災訓練における教訓と課題についてでございます。  二月三日、薩摩半島西方沖で震度七の地震が発生、川内原発一、二号機の原子炉が自動停止、二号機の一次冷却材系統から放射能漏れを起こすという想定で原子力防災訓練が行われました。  西方地区からの避難者は、県森林技術総合センターで避難退域時検査が行われ、センター駐車場に大型テントを張りめぐらせ、強風が吹く中をバス及び避難者の汚染検査・簡易除染が行われました。避難者が暖をとる場所もなく、つらそうな顔が印象的でした。避難者の汚染検査・簡易除染は、野外に近いテントよりも体育館など屋内での対応がよいのではないかと感じました。
     そもそも、毎年の訓練のたびに避難退域時検査場所が変わっていますが、検査場所が決まっていれば、避難する者も誘導する者もスムーズにいくのではないかと考えます。  避難退域時検査場所を事前に決めておき、汚染水の管理も含めた施設整備を施していれば、検査員も住民も安心できると考えますが、県の見解を求めます。  また、バスでの避難者は軽装で荷物も少ない状況でした。いざ避難となった場合、すぐには帰れない、場合によってはふるさとを捨てなければならないことになるのは、福島原発事故を見ても自明でございます。訓練にそういう緊迫したリアリティーは感じられませんでした。  また、地元紙によると、長島町在住者の避難訓練では、三十キロ圏内に入る町南部の五集落八百五十四人に限定された訓練で、他の約一万人は置き去りで、訓練後の意見でも、しゃくし定規に三十キロメートルで分けることに住民も疑問を抱いているという報道がされました。  訓練に参加した人々の意見でも、実際に川内原発で事故が起きたことを知ったら車で自主避難すると答えた方が七割に達しております。安定ヨウ素剤の受け取り方法も知らない方々も多くおられます。原発事故時の避難は原則自家用車となっていることからも、自主避難者に対する現実的な訓練が必要ではないかと考えます。  自主避難者への配慮を想定した訓練を充実させ、自家用車避難に対する警察や自治体の対応訓練を取り入れ、現実的な問題点を探ることも必要ではないかと考えますが、県の見解を求めます。  消防学校が果たす使命と人材不足への対応についてでございます。  消防学校は、「消防職員及び消防団員等に対して、消防の任務を正しく認識させるとともに、人格の向上、学術技能の習得、さらには地域住民の信頼と期待に応える消防人を育成することを基本方針とする」と記載されています。しかし、その人員体制は、教務課職員八人のうち派遣職員が五人となっており、県内消防本部・消防組合頼みが顕著になっています。一時的な応援態勢ではなく三年ごとに消防職員が入れかわっており、経年的に支援してもらっているのが現状です。しかも、近年はその数もふえています。派遣元の消防本部や消防組合はベテランの職員を選抜しており、消防庁の求める充足率に達していない中で、その負担は重たいと言わざるを得ません。  消防庁の消防学校における教育訓練に関する検討会の議事概要では、これから先十年を見越して消防学校として何を、教育がどうあるべきかという検討が必要。職員を派遣する市町村側からの意見を聞くことが必要という検討がされています。  鹿児島県も、消防学校の教育課程、人員体制、老朽化対策など、消防学校のあり方について検討委員会など立ち上げて議論していくべきだと考えますが、県の見解を求めます。  南海トラフの巨大地震が今後三十年以内に起こる確率について、政府の地震調査委員会は、これまでより高い七〇%から八〇%に見直しました。鹿児島県は、台風も火山も地震も多い地域です。各消防組合では広域化が進んでおり、消防組合内の応援体制もとりづらい地区も見受けられます。  県として、市町村における消防体制の課題を整理し、今後のあるべき姿を描いていくべきだと考えますが、県の見解を求めます。  次に、鹿児島県民総合保健センターについてでございます。  公益財団法人鹿児島県民総合保健センターは、一九八四年十一月に、鹿児島県と県医師会、結核予防会県支部、県成人病予防協会の四者により設立され、一九八六年四月に、県民の健康を守る拠点施設として県民総合保健センターが開設され、今日に至っています。  事業内容としては、集団検診事業として、胃検診車、胸部検診車、乳房検診車、腹部超音波検診車など約四十台を保有して、県内一円を巡回しています。労働安全衛生法に基づく一般健康診断や、学校における腎臓検診、心臓検診、人間ドック、細菌検査、先天性代謝異常等検査など多岐にわたる健康診断体制を担っており、二〇一六年度の受診者数は延べ八十五万三千人余りに上り、県委託事業として全国がん登録事業も行っています。  健診業務では、過疎化と高齢化が進む中山間地域や離島及び僻地健診も採算性を度外視して行っています。特に、三島村・十島村での検診車をフェリーに積んでの検診は、毎年ニュースで紹介されるなど、その貢献度は特筆されるべきものがあります。  県は、重点施策の一つとして健康で長生きできる社会の実現と良質な医療の確保を掲げ、心豊かに生涯を送れる健康長寿県の創造に向け、健康かごしま21推進協議会や地域・職域・学域連携推進委員会などを設置しています。その構成団体として、鹿児島県民総合保健センターも委員として議論に参加し、県の事業を推進しておられます。  そこでお伺いします。  県民総合保健センターの位置づけと健診業務の評価についてお答えください。  そして、今後、鹿児島県民総合保健センターに何を期待していくのか、見解を求めます。  この財団は、鹿児島市下伊敷三丁目の旧国立病院の建物を改修・増築して運営されてきていますが、旧国立病院は一九六六年から一九七一年にかけて建築されており、築五十年以上経ていることからも、老朽化と狭隘化が顕著になってきています。センター内では、連日人間ドック健診などの外来者も多く、職員も三百人を超えることから、建物の安全の担保は急務だと考えます。  そこでお伺いします。  センターの建物の管理は現在どうなっているのか、また、今後の対策についてもお答えください。  次に、保健医療行政についてでございます。  急速に少子高齢化が進む中、二〇二五年には団塊の世代が全て七十五歳以上となり、全人口の一八%を占めることになります。一方、社会保障給付費は、二〇一二年度の百九・五兆円、GDP比二二・八%から、二〇二五年度の百四十八・九兆円、GDP比二四・四%へ急激な増加が見込まれています。  二〇一四年、国は、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療介護総合確保推進法を制定し、これを受け、本県においても、地域の医療需要の将来推計や病床の機能ごとの必要量等、地域の医療提供体制の将来あるべき姿として、県地域医療構想を策定いたしました。そして、現在、地域医療構想の実現に向けて、構想区域ごとに、医療関係者等で構成する地域医療構想調整会議でさまざまな協議がなされていると聞いております。  地域医療構想の全体像及び構想区域ごとの協議状況はどうなっているのか、お示しください。  また、県地域医療構想を踏まえた県立病院の果たすべき役割と課題についてもお聞かせください。  厚生労働省の有識者会議医師需給分科会が、医師偏在の解消についての対策を取りまとめました。医師は、診療科や勤務する地域を原則自由に選ぶことができます。偏在を緩和する仕組みが必要として、医師不足地域で一定期間勤務した医師を国が認定し、医師を送り出す医療機関に経済的な支援を行う仕組みを構築することなどが盛り込まれています。  県立病院における医師不足も深刻で、昨年七月時点での県立病院の医師不足は二十六人、医師がいないことにより休診を余儀なくされている科もあります。  来年度当初予算では、医師確保対策として、特定診療科医師派遣事業や医師修学資金における特定診療科枠の創設が新規事業として計上されていますが、それぞれ診療科及び医師数は何人を目標にしておられるのか、お示しください。  また、この事業により診療科の偏在が解消されると考えておられるのか、お聞かせください。  また、県立北薩病院と県立薩南病院は医師不足等に伴い休診の診療科があるなど、患者数の減に伴い経営状況も厳しいものがあると聞いておりますけれども、医師確保等の改善策についてお聞かせください。  県立病院は、急性期医療機関として患者七人に対して看護師一人体制への対応をとっていますが、地域によっては看護師確保が厳しい状況にあると聞いております。  看護職員の充足状況と確保対策についてお聞かせください。  また、県内看護学生の就職状況についても、県内就職率の状況と要因についてお示しください。  厚生労働省が公表した二〇一六年の人口十万人に対する日本の医療施設の従事医師数は二百四十・一人で、OECD─経済協力開発機構─加盟国の平均三百三十人に比べ圧倒的に少ない実態にあります。加盟国では下から四番目に当たる数字になっているのです。医師不足は、地域間・診療科間の偏在が原因ではなく、医師の絶対数が足りないのだという有識者の意見もうなずけるデータでございます。このような絶対的医師不足の中にあって、多くの勤務医は、当直制度のもとで過労死寸前まで働いているのが現状です。  そこで伺います。  医師不足は絶対数が足りないからだとの分析に対する県の見解を求めます。  その上で、県としての対策について考えはないのか、お伺いいたします。  本県では、地域を基盤とするシステム化された包括的、継続的、合理的な保健医療供給体制の確立を目指して、一九八七年に鹿児島県保健医療計画が策定されました。その後もおおむね五年ごとに見直しがなされ、先般、二〇一八年度から二〇二三年度までの案が示されています。また、医療費適正化計画や高齢者保健福祉計画もその案が示されたところでございます。  これら三計画について、それぞれの課題と今後の取り組みについてお聞かせください。  以上、二回目の質問といたします。 10 ◯危機管理局長(田崎寛二君)桜島火山爆発総合防災訓練についてのお尋ねのうち、まず、訓練全体の総括と避難者保護の視点での課題についてであります。  ことしの桜島火山爆発総合防災訓練におきましては、避難指示の発令で退避舎等に集結した住民の、バスによる陸上避難とフェリー等による海上避難の二つの訓練を同時に実施したほか、住民主体の避難所運営訓練やドローンを活用した残留者捜索訓練など、関係機関相互の緊密な連携のもとに実効性の高い訓練ができたものと考えております。  桜島の退避舎につきましては鹿児島市で整備しておりますが、県及び鹿児島市の地域防災計画では、大きな噴火が予想される場合、島外避難が原則であり、まずは一次退避場所である退避舎から島外の避難所へ迅速に避難させることが重要であると考えております。  県といたしましては、引き続き鹿児島市と連携し、住民の避難誘導体制の充実に努めてまいります。  外国人観光客のフェリー避難誘導訓練の評価と課題についてであります。  今回の外国人観光客の避難訓練では、屋外スピーカーによる避難指示等を英語や中国語などの多言語で行う訓練に加え、係員の誘導によるフェリー等での避難を実施したところであり、一定の成果は得られたものと考えております。  訓練後の関係機関による意見交換会では、外国人は爆発したらどうしようという不安を抱えながら観光するので、フェリー等での避難方法があると知って安心したという意見や、避難のときに気さくに外国人にも声をかけてほしいといった意見等があったところであります。  今後とも、鹿児島市と連携しながら、避難訓練の充実や外国語表記の火山防災マップの周知など、外国人観光客の安全な避難の確保に努めてまいります。  桜島の避難の想定と現実的な訓練、意識の醸成についてであります。  桜島で大規模な噴火があった場合の避難につきましては、大きな噴石や火砕流などの影響があるとして、国の火山災害警戒地域に指定されている鹿児島市及び垂水市におきまして、地域防災計画の中で、避難所や避難方法など警戒避難体制の整備を図ることが位置づけられております。  このため、桜島火山爆発総合防災訓練では、島民の鹿児島市街地への島外避難訓練を実施しているほか、垂水市においても、住民を災害警戒区域外へ避難させる訓練を行っております。また、姶良市や霧島市においては、地域防災計画に桜島の噴火による避難は位置づけていないことから、避難者の受け入れ先として、同防災訓練の図上訓練に参加しております。  県といたしましては、地域防災計画や防災訓練につきましては、今後とも、県や市町村、防災関係機関、火山専門家等で構成する火山防災協議会などの意見も聞きながら、必要な見直しを行ってまいります。  住民の防災意識につきましては、県政かわら版や県のホームページ等を通じて啓発を行うとともに、鹿児島市や近隣市町村と連携した防災訓練を重ねながら、住民一人一人の防災意識の醸成が図られるように努めてまいります。  原子力防災訓練についてのお尋ねのうち、避難退域時検査場所の選定についてであります。  避難退域時検査場所につきましては、国が策定したマニュアルにおいて、それぞれの地域の実情等を踏まえ、三十キロ圏周辺から避難所までの間で、避難経路や避難所までの移動の容易性、面積等を考慮することとされており、これらの条件を総合的に勘案し、関係自治体等と協議し、候補地二十一カ所を選定したところであります。  災害発生時には、この候補地の中から適地を検査場所として使用することとしており、さまざまな状況に対応できるよう避難経路上に複数箇所選定しております。  また、汚染検査や簡易除染につきましては、県が自衛隊や電力事業者等と連携して実施することとしており、避難車両の除染等に伴い発生する汚染水等は、電力事業者が処理することとなっております。  自主避難者への配慮を想定した訓練についてであります。  原子力災害時には、国が策定した原子力災害対策指針に基づき、PAZにつきましては、放射性物質の放出前に避難を行い、UPZにつきましては、被曝を最小限に抑えるため屋内退避を基本とし、その後、空間放射線量の実測値に基づき、地域を特定して、一週間程度かけて避難することとされております。  県といたしましては、今回の訓練において、国や関係市町と連携して、段階的避難について手順を確認したところであります。また、自家用車を利用した避難訓練につきましては、PAZの住民が薩摩川内市の避難指示に基づき、自宅から避難経路を通って避難所まで避難したところであります。  今後とも、訓練後の反省会で出された意見や専門委員会からの御意見なども踏まえ、内閣府や関係市町と連携しながら、原子力防災訓練の見直しを行ってまいります。  消防についてのお尋ねのうち、まず、消防学校の教育課程等のあり方に関する検討についてであります。  消防学校の人員や教育訓練等につきましては、消防庁は、平成十五年度の教育訓練基準の全面改正以降十年余が経過したことや、昨今の消防を取り巻く状況の変化等を考慮し、消防学校の教育訓練に関する検討会での検討結果を受け、平成二十七年四月に、関係の基準を改正したところであります。  このため、消防学校におきましても、実技訓練の充実など教育訓練の内容を見直すとともに、各消防本部と協議を行い、平成二十九年四月から、教務課の派遣職員を三名から五名に増員したところであります。  消防学校におきましては、消防庁が定める基準に基づき、効率的かつ効果的な教育訓練を実施する必要があることから、今後とも、各消防本部などの意見も聞きながら、教育訓練の充実等に取り組んでまいります。  また、施設の維持補修につきましては、今年度は浴室天井の補修等を実施したところでありまして、来年度は本館等の雨漏りの補修等の予算を計上しているところであります。  今後とも、訓練や学校生活に支障のないよう、優先度の高いものから計画的な維持補修に努めてまいります。  市町村の消防体制についてであります。  市町村の消防力につきましては、消防組織法において、市町村が当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責任を有するとされており、必要な消防力をみずから決定し、計画的に整備を進めることとされております。  本県においては、消防職員数は年々増員されており、消防ポンプ自動車や救急自動車の整備率は全国平均を上回っているほか、人口十万人当たりの消防団員数や女性団員の比率も全国平均を上回るなど、消防力の充実に向けて着実に取り組みが進められております。また、県内消防本部で構成する鹿児島県消防長会において、共通の課題や相互応援などについて協議がなされており、県としても必要な助言等を行っております。  今後とも、市町村や消防長会などと連携しながら、消防力の充実・強化が図られるよう努めてまいります。 11 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)県民総合保健センターについてのお尋ねのうち、まず、その位置づけ、健診業務の評価、今後の期待についてであります。  県民総合保健センターは、県民の健康管理と保持増進を図るために設立され、同施設や検診車を活用し、がんなどの検診、学校保健の検査等の業務を行っており、県民の公衆衛生及び福祉の増進に寄与しているものと考えております。  同センターにつきましては、引き続き、生活習慣病等の予防、普及啓発、検診などの事業を行うことにより、県民の健康づくりの一翼を担っていただきたいと考えております。  次に、県民総合保健センターの建物の管理及び今後の対策についてであります。  県民総合保健センターの建物については、外壁の補修や屋根の防水を行うなど、必要な管理がなされていると聞いております。  今後の施設の安全対策などは、一義的には、独立した法人格を有する公益財団法人である同センターで検討されるべき事項であると考えております。  地域医療構想の全体像と構想区域ごとの協議状況についてであります。  地域医療構想は、地域の医療提供体制の将来のあるべき姿を示すものとして、関係団体等の意見を踏まえ策定したものであり、その中で、平成三十七年の病床の必要量を県全体で一万九千九百四十四床と推計しております。  今年度の調整会議は、各構想区域において二回から四回開催し、県立病院など公的医療機関等の役割を踏まえた病床のあり方について協議しているところであります。  また、個別の構想区域での主な議論としては、例えば鹿児島医療圏や曽於医療圏では、各医療機関が精緻な病床機能報告を行うことにより、地域の現状を正確に把握する必要がある。姶良・伊佐医療圏では、不足する回復期への病床機能の転換を進めるに当たっては、診療報酬改定も検討要素であるといった意見があったところであります。  特定診療科医師派遣事業及び医師修学資金における特定診療科枠についてであります。  特定診療科医師派遣事業につきましては、安心して子供を産み育てられる環境を目指し、鹿児島大学と連携して、産科医が不足する地域の中核的な病院等に産科医を派遣するものであり、一名を予定しております。  また、医師修学資金における特定診療科枠については、将来、産科・小児科の地域の中核的な病院等に勤務しようとする医学生に修学資金を貸与するものであり、産婦人科、小児科及び麻酔科を対象に五名を募集する予定であります。  県では、これまでも、分娩手当を支給する産科医療機関への助成、産科・小児科の専門研修医に対する奨励金の支給、産科医確保に取り組む市町村等への財政的支援を実施しているところであり、来年度からさらに新たな事業に取り組むことにより、産科医及び小児科医の確保や地域的偏在の解消に努めることとしております。  県内看護学生の就業状況についてであります。  県内の看護学校等の新卒者のうち、県内に就業した者の割合は増加傾向にはありますものの、平成二十九年三月時点で五六・七%であり、全国平均と比較して低い水準となっております。  県が平成二十八年度に実施した看護学校等へのアンケート調査においては、低い要因として、「県外医療機関からの奨学金を受給している者が多い」、「キャリアアップを目指して大都市圏の医療機関を選択する者が多い」といった回答が寄せられております。  県といたしましては、引き続き、看護学生に対する修学資金の貸与、養成所への運営費補助、新人看護師のスキルアップに向けた研修の支援などを行うとともに、関係団体等とも連携を図りながら、看護師の県内就業を促進してまいります。  医師不足の原因についてであります。  医師の需給見通しについては、国の医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会で検討が行われており、全国的な医師数の増加を図ったとしても医師偏在対策が十分図られなければ、地域や診療科の医師不足の解消にはつながらないとの考え方が示されております。  県としても、医師の地域的偏在や特定診療科の医師不足の解消を図りつつ、医師の総数を確保することが必要であると考えており、これまでも、医師修学資金の貸与やドクターバンクかごしまにおける医師のあっせん、臨床研修医の確保、医師の勤務環境改善などに取り組んでおります。  今後とも、国の動向も注視しながら、県医師会、鹿児島大学、市町村などとも一体となって、総合的な医師確保対策に取り組んでまいります。  保健医療計画、医療費適正化計画及び高齢者保健福祉計画の課題と取り組みについてであります。  保健医療計画については、三大生活習慣病が全死因の五割を占めることなどを踏まえ、がんや救急医療等の五疾病五事業及び在宅医療の医療連携体制の整備を推進するとともに、地域医療構想の達成に向けても取り組むこととしております。  医療費適正化計画については、一人当たりの医療費が全国平均を上回っていることなどを踏まえ、生活習慣病等の予防、疾病の早期発見・早期治療を推進するとともに、後発医薬品の使用促進等にも取り組むこととしております。  高齢者保健福祉計画については、要介護認定者や認知症高齢者の増加等を踏まえ、地域包括ケアシステムの強化、認知症施策の推進、生きがいづくりや社会参加活動の促進、介護サービス基盤の整備などに取り組むこととしております。
    12 ◯県立病院事業管理者(福元俊孝君)県地域医療構想を踏まえた県立病院の役割と課題についてであります。  県地域医療構想の実現に向けた医療機関の役割分担等については、県立病院長も出席する地域医療構想調整会議において協議されるものと考えております。  これまでの調整会議では、県立病院第二次中期事業計画に基づき、各病院長から、公的病院としての役割である地域に不足する医療や政策医療、高度・専門医療、救急医療などを今後も提供するという説明を行い、他の委員からは、引き続き公的病院としての役割を担ってほしいなどの意見があったところであります。  構想区域における県立病院の具体的な病床機能等については、今後開催される調整会議において議論がなされるものと認識しております。  次に、北薩病院及び薩南病院における医師確保への取り組みについてであります。  北薩病院及び薩南病院における医師確保への取り組みとしては、他の県立病院と同様に、鹿児島大学への医師派遣要請を初め、ホームページや県のドクターバンクかごしま、民間の医師紹介業者等による全国的な公募を行っております。  また、県立病院群での臨床研修プログラムによる研修医の受け入れや、医師の柔軟な勤務を可能とする非常勤職の設置や総合診療科の設置などにより、医師の確保に取り組んでいるところであります。  次に、県立病院の看護職員の充足状況と確保対策についてであります。  県立病院における看護職員の確保については、薩南病院や北薩病院など確保が厳しい地域はありますが、本年二月一日現在、看護職員は充足しているところであり、施設基準を満たしております。また、看護職員の確保対策としては、県立病院局独自の修学資金の看護学生への貸与や、県内看護学校等の訪問による採用試験の案内、さらに、勤務地を大島病院に限定した採用試験を実施しております。  そのほか、各県立病院においては、年度途中の退職や療養休暇などにより不足が生じた場合は、その都度、ハローワークやナースバンク事業を活用した求人や、各病院の総看護師長が幅広く人材情報を収集するなどして、代替の臨時的任用職員等の確保に努めております。 13 ◯上山貞茂君 二点だけ再質問させてください。  消防学校についてですけれども、基本的に、市町村からの派遣職員がふえているんですが、指導できるプロパー、県の職員をしっかりと育てていく、そういった視点が大事かと思うんですけれども、それについて再度質問したいと思います。  もう一点、県民総合保健センターなんですけれども、開設されて三十二年なんですが、これまで、県の保健所とともに県民の健康を守る拠点施設として集団検診業務等を担ってきておりました。ただ、人間ドックについては市内の他の病院も充実してきておりますし、今や人生百歳時代を迎えております。がんの早期発見の技術も向上しております。こういった技術の進歩に呼応した県の施策を担う施設、県民の健康を守る予防的な拠点施設として、県政を行政機関とともに推進する施設という位置づけで考えれば、県としても、このセンターの位置づけ、さらには老朽化対策も含めた形で、しっかりと働ける環境づくりを考えていくべきではないかと思いますが、それについての考え方をお示しください。 14 ◯危機管理局長(田崎寛二君)消防学校の教務課の職員についての再度のお尋ねがございましたが、先ほど申し上げましたように、教務課八名のうち三名が県職員、それから五名が各消防本部から派遣していただいております。  消防学校の教育訓練におきましては、実務にたけた職員から指導を受けて、自分たちの後輩を育てるということも大事でございますので、今後も各消防本部から派遣していただきたいと思っておりますが、いずれにしても、県それから市町村消防、連携して対応してまいりたいと考えております。 15 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)県民総合保健センターの今後の位置づけということでの再質問かと思いますが、先ほども申し上げましたが、県民総合保健センターにつきましては、生活習慣病の予防、普及啓発、情報発信、検診などの事業を担っているところであります。  県といたしましては、このセンターの機能を活用しながら、県民の健康づくりに努めてまいりたいと考えております。    [上山貞茂君登壇] 16 ◯上山貞茂君 次の課題に入りたいと思います。  本県水産業の課題でございます。  私ども会派では、日本有数の養殖ブリの産地、本県の北西部、長島町にあるJF東町漁協に赴き、同漁協が取り組む養殖ブリの生産、加工、輸出等について調査してまいりました。  東町漁協では二〇一六年八月、農林中央金庫の六次化ファンドなどから出資を受け、子会社株式会社JFAを設立。市場からの直接買いつけに加え、食堂のリニューアル、インターネットでの販売、キッチンカーの運営などに乗り出しています。長元信男組合長は明快に、漁業者の所得向上を実現し地域活性化につなげたい、長島のおいしい魚をこれまで以上に国内外へ広めていくとの強い決意で話していただきました。  同漁協では、養殖ブリの品質の統一化に向け、独自に開発した配合飼料で育成した鰤王が何といっても有名で、関東・関西の大消費地だけでなく、北陸などでも大きく消費されるブランド魚に育っています。  海外向け販売にも早くから取り組み、現在ではアメリカ、中国、欧州など二十数カ国に輸出しています。ただ、主要な事業のブリ養殖は決して順風満帆ではなく、たび重なる赤潮被害により、二〇〇九年には百二十万尾、二〇一〇年には百五十万尾、近年では二〇一五年、二〇一六年に被害─へい死─が発生し、甚大な損害がありました。  まず、本県水産物の海外輸出の現状と課題についてお示しください。  二月一日の水産技術開発センターの研究報告会に同僚議員が参加いたしました。研究員の方々の昼夜を分かたぬ熱心な研究努力が本県水産業を支えている現状と、地味で地道な研究成果を発表する研究員の存在を頼もしく感じたとのことでありました。  同センターでは、他の研究機関との共同研究で、ブリ類の稚魚が感染する、べこ病の治療法を世界で初めて開発したと伺っています。べこ病は、へい死や成長不良を起こすためブリ類養殖の課題となっているもので、治療法が実用化すれば養殖業者への被害を軽減できるとしております。  そこで、本県養殖業が抱える課題について伺います。  養殖業が恐れる赤潮への被害対策、べこ病対策の現状と課題について、県の取り組みをお示しください。  新年度予算でも、カンパチやブリの人工種苗供給安定化事業などの計画もありますが、漁協などが待望する、稚魚から成魚まで一貫したブリ・カンパチの種苗生産技術の早急な確立が課題と考えますが、ブリやカンパチの種苗生産研究の現状と安定供給に向けた取り組み、課題をお示しください。  一方、組合長などが懸念している、漁業権をめぐる規制改革、つまり、国内の漁業者は、漁協などが漁業権を取得し、組合員である漁業者が操業する仕組みが一般的で、固定的な概念となっています。しかし、東日本大震災復興特別区域法による規制改革や、漁師の高齢化、担い手不足等から漁業権の放棄を余儀なくされ、漁業権を企業や外国資本などが取得できるような規制改革の動きがあると仄聞いたします。  そこで伺いますが、国の漁業権をめぐる規制改革の動向及び県の見解についてお示しください。  観光行政に関して伺います。  明治維新百五十周年を発信する意義と取り組みでございます。  ことしになり、地元紙を初めとして、しばしば明治維新百五十年に関する報道がなされるようになりました。その中でも目を引いたのが、「歴史は地続き 評価は多様」、「明治百五十年 何がめでたい」といった見出しです。明治維新後、私たちの歴史認識も薩長史観に影響を受けてきたのではないかといった指摘などがなされており、百五十年という歳月を経て、ようやく客観的に明治維新を見直す時期になったのかもしれないというものです。確かに、「明治維新という幻想」、「偽りの明治維新」、「東北を置き去りにした明治維新」、「薩長史観の正体」など、明治維新に批判的なタイトルの書籍を多く見かけます。  そのような中、政府も内閣官房に明治百五十年関連施策推進室を設け、本県でも昨年からさまざまなイベントを開催するなど、機運の醸成を高める取り組みがなされています。もちろんそれらのイベント自体に政治性はなく、観光を含め、経済的な動機によるものであるということは承知しているつもりです。  一方、野田聖子総務相は金沢市での講演で、明治維新からことしで百五十周年となることに触れ、「明治維新をなぞっても次の日本は描けない。私たちはここで決別しないといけない」と述べ、明治維新当時とは余りにも環境が違うことを指摘しています。  このような指摘も真摯に受けとめ、さまざまな観点から明治維新を検証してみることも必要だと考えますが、見解をお聞かせください。  また、新年度予算には明治維新百五十周年関連事業が多く提案されていますが、それぞれの事業の考え方についてお示しください。  さらに、明治維新への関心を来年以降も維持していくための方策についてお示しください。  通訳コールセンターの考え方について質問いたします。  二〇一七年の訪日客数が五年連続で過去最高を更新し、前年に比べ約二割増しの二千八百万人強になったとのことであります。本県における昨年十一月の観光動向では、外国人宿泊客は延べ人数で三万四千六百人、前年同月に比べ二七%ふえています。順調に訪日客数が増加している一方、受け入れ体制の強化が求められており、国も税関や入国管理など観光インフラ整備に動き出しています。  新年度に、言語コミュニケーションの問題により円滑な旅行が困難な外国人観光客をサポートするため、電話オペレーターによる二十四時間対応の通訳コールセンターを設置する予算が計上されていることから伺いますが、何カ国語に対応できるコールセンターにするのか、運営主体はどこを考えているのかなど、事業の内容を明らかにしてください。  また、医師会などからも要望のある、外国人の患者さんの対応も想定されているのか、運営のあり方も含め、具体的に考え方を示してください。  次に、本県における最重要課題の一つであり、ことし夏の登録が期待される、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録に関連して伺います。  まず、奄美大島の湯湾岳の山頂近くに計画されている通信施設についてであります。  防衛省が、高さ約五十メートルの鉄塔と通信所の整備をするというものですが、湯湾岳は、国の特別天然記念物アマミノクロウサギなど希少動植物の宝庫と言われています。山頂付近は、昨年三月に誕生した奄美群島国立公園の中でも、特に厳重に生態系の維持を図る特別保護地区であり、世界自然遺産の推薦区域となっています。予定地は、特別保護地区と境界を接し、国立公園の第二種特別地域に区分されていますが、特別保護地区と特別地域は、自然公園法で工作物の新築等が規制されています。第二種特別地域の中でも、野生動植物の生息・生育地として重要な地域は、最も規制の厳しい特別保護地区に準じて取り扱う必要があります。  国の機関が行う施設の整備に当たっては、環境省への協議が必要とのことですが、防衛省や環境省とはどのような協議をしているのか、明らかにしてください。  また、登録への懸念や環境への影響について、県の見解をお答えください。  当初予算では、奄美世界自然遺産地域保全事業として約四億円が計上されています。将来にわたる適正な保護管理のために、国に協力して民有地の一部を購入する予算としていますが、今後の管理方法について考え方をお示しください。  昨年十月に、ユネスコの諮問機関である国際自然保護連合─IUCN─の調査が行われましたが、それ以降、指摘などはないのか、IUCNの動き等についてどのように把握されているのか、お答えください。  また、重要課題である機運の醸成とノネコ対策の現状についてもお示しください。  以上、三回目の質問といたします。 17 ◯商工労働水産部長(酒匂 司君)まず、お尋ねの一点目、本県水産物の輸出についてでございます。  本県水産業を取り巻く情勢につきましては、国内においては、消費人口の減少や魚離れなどにより水産物の消費が減少している一方、海外におきましては水産物需要が増大しており、国内と比べて市場規模が格段に大きく成長も続いていることから、このような世界市場に目を向け、今後はなお一層の輸出促進に取り組む必要がございます。  特に、EU、北米では、より質の高い水産物を求める動きも強まっており、経済発展、人口増加が著しいアジア地域、中東地域等においても水産物の需要増加が期待される状況にございます。  このようなことから、県といたしましては、今年度策定いたします県農林水産物輸出促進ビジョンにおきまして、輸出相手国・地域が求める品目、量などの安定した供給の確保や環境に配慮した水産物の持続的な利用、相手国・地域に応じた衛生基準の整備、物流コストの低減などに取り組む必要があるものと考えております。  次に、赤潮への被害対策についてでございますが、県におきましては、まずは赤潮被害を未然に防止するため、国や関係県等と連携し、年間を通したモニタリング調査により、有害プランクトンの有無や水質等の得られた情報をファクス等で関係漁協等に迅速に提供するとともに、養殖魚への餌どめや生けす避難等の指導を行っております。  また、赤潮の防除技術の確立に向け、県水産技術開発センターにおきましては、赤潮防除剤の開発を進めるとともに、赤潮が発生しやすい環境条件となる水温、栄養塩の状況などについて一部解明してきたものの、依然として、赤潮の発生から消滅に至るメカニズムの解明には至っていないところでございます。  このため、県におきましては、国の水産研究・教育機構や鹿児島大学等と連携をとり、赤潮の発生メカニズムや防除技術等の研究に取り組むとともに、県開発促進協議会を通じて、赤潮被害防止対策の技術の開発及び実用化を早期に図るよう、国に要望しているところでございます。  次に、ブリ類の養殖用稚魚に見られるべこ病については、近年、稚魚の成長不良や死亡を引き起こす原因となっているものの、いまだに効果的な薬剤や治療法がないところでございます。  このような状況を踏まえ、県水産技術開発センターにおきましては、平成二十七年度から、国の水産研究・教育機構や大学等との共同研究に着手し、べこ病の原因となる寄生虫の発生から消滅までの解明に向けた調査や治療法の開発に取り組み、今般、べこ病の治療に有効な薬剤を明らかにしたところでございます。  今後とも、関係機関と連携を密にし、早期の治療法の実用化に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、ブリ・カンパチの種苗生産研究についてでございます。  ブリの種苗生産につきましては、既に技術が確立している国の水産研究・教育機構から技術移転を受けるとともに、当該機構の受精卵を用い、現在、県水産技術開発センターで人工種苗生産試験を行っており、今後は受精卵の安定確保が課題となっております。  そのため、県では、本年三月に完成予定のブリ人工種苗生産施設を使用して、新たに、親魚の養成試験や採卵の試験を行いますとともに、かごしま豊かな海づくり協会に種苗生産技術の移転を行うことといたしております。  また、カンパチの種苗生産につきましては、病気に強く成長が早い人工種苗の供給が課題となっておりますことから、引き続き、優良な人工種苗を親魚に育てる選抜育種に取り組むとともに、新たに、小型種苗を用いた海面生けすでの中間育成試験を行うことといたしております。  次に、漁業権をめぐる規制改革につきましては、国の規制改革推進会議におきまして、昨年九月から議論がなされてきており、ことし六月を目途に答申を取りまとめるとされておりますが、漁業権につきましては、地元漁協の優先的権利として認めるべきとする意見がある一方、水域を有効かつ効率的に活用する仕組みとして、漁業権を見直すべきといった意見など、さまざまな意見が出されていると聞いております。  県におきましては、現在も規制改革推進会議において議論が継続中でありますことから、今後の審議を注意深く見守ってまいりたいと考えております。 18 ◯PR・観光戦略部長(西 啓一郎君)まず、明治維新の検証についてのお尋ねでございます。  明治維新百五十周年を迎えるに当たり、明治維新の意義を改めて考える契機とするため、新たな史料の収集、解読等を行い、薩摩藩が明治維新において重要な役割を果たし得た要因を明らかにしますとともに、当時の人々の暮らしや女性の生き方、子供の教育などの視点で取りまとめたところでありまして、これを「明治維新と郷土の人々」として発行し、さまざまな機会を捉えて活用しているところであります。  また、これらの成果を生かし、明治維新についてさまざまな視点から捉え、広く県民の理解を深めるため、それぞれの分野の研究の第一人者によるシンポジウムを開催しているところでもあります。  明治維新百五十周年の機会を逃さず、本県ならではの歴史や文化等の魅力を広く県内外にアピールし、鹿児島の活性化につなげてまいりたいと考えております。  次に、明治維新百五十周年関連事業の考え方についてでございます。  明治維新百五十周年関連の取り組みは、明治維新期に重要な役割を果たした本県独自の歴史や文化等を生かして、交流人口の拡大や鹿児島の将来を担う人材育成などを図り、鹿児島の活性化につなげようとするものでございます。  来年度は、先人たちの志や行動力など明治の精神を学び、次の世代にしっかりと継承するため、子供たちの記憶に残るような記念式典を開催いたしますとともに、引き続き、かごしま明治維新博を展開し、鹿児島の魅力の発信や若手研究者育成事業など次世代に継承するための取り組み、ゆかりの地の整備など観光振興に向けた取り組みなども実施し、事業の成果が来年以降につながるように努めてまいります。  次に、通訳コールセンターについてでございます。  多言語コールセンターは、電話オペレーターによる二十四時間対応の通訳サービスを提供する民間事業者に委託することにより、外国人旅行者がコミュニケーション面での不安を感じることなく観光していただけるよう取り組むものでございます。  具体的な委託内容につきましては、運営主体のあり方も含め、今後検討してまいりますが、対象言語としては、英語、中国語、韓国語、タイ語などを想定し、事前に登録していただいた宿泊施設、観光施設、小売施設、交通事業者からの電話に対応することを考えております。  また、外国人の患者への対応につきましては、例えば、登録されている宿泊施設等で外国人旅行者が体調不良を訴えた場合は、その施設が通訳サービスを利用することにより、あらかじめその施設において把握している医療機関を紹介するなど、応急的なコミュニケーションをサポートすることを想定しております。 19 ◯環境林務部長(古薗宏明君)奄美の世界自然遺産登録に関連して、湯湾岳に計画されている通信施設についてであります。  環境省によりますと、現時点において、通信施設の整備主体である防衛省から、自然公園法に基づく協議は行われておらず、また、協議があった場合には、その同意に先立って県に意見照会を行うとのことであります。  防衛省からは、県に対し、施設の具体的な配置計画を検討するに当たり、土地の有効活用及び速やかな工事の実施という観点から、環境省等関係機関と調整し、現在、沖縄総合事務局無線中継所がある敷地内に鉄塔や局舎を整備することについて、検討を開始しているとの説明がありました。今後、環境省から県に意見照会があれば、自然環境の保護の観点から適切に対応してまいります。  奄美世界自然遺産地域保全事業で購入する土地の管理についてであります。  この事業により購入する土地は、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、アマミノクロウサギを初めとする固有かつ希少な野生動物が生息する地域にあり、奄美群島国立公園の特別保護地区等に指定された重要な場所であります。  県といたしましては、自然公園法による厳格な開発規制に加えまして、土地所有者としての適正な保護管理のあり方等について、同じく土地所有者となる国と連携して、検討してまいりたいと考えております。  IUCNの現地調査以降の動きについてであります。  IUCNは、昨年十月の現地調査後、十二月に開催した世界自然遺産の推薦案件の評価に関する会議の結果に基づき、国に対し、推薦地域の境界の考え方や管理方法、公有地化の状況、奄美大島のノネコ対策など、追加的な情報提供の依頼を行ったところであります。  国は、鹿児島・沖縄両県や関係機関と調整した上で、今月末までに回答することとしております。その後、IUCNにおきましては、提出された追加情報も踏まえて最終的な評価を取りまとめ、五月ごろに世界遺産委員会に勧告を行うこととしております。この勧告を踏まえ、六月二十四日から七月四日にかけてバーレーンで開催される世界遺産委員会において、登録の可否が審議される予定であります。  奄美の世界自然遺産登録に係る機運の醸成とノネコ対策についてであります。  奄美の世界自然遺産としての価値を将来にわたって維持していくためには、住民の理解と協力が必要でありますことから、自然環境の保全についての勉強会や小・中学校における自然保護の意識を高める学習など、さまざまな活動に取り組んできております。  また、三月十一日には奄美市におきまして、世界自然遺産に初めて登録されたガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所長による講演会を開催することとしており、さらに、来年度は世界遺産委員会のパブリックビューイングや登録記念イベント、シンポジウムなどを開催することとしております。  次に、ノネコ対策でありますが、ノネコは希少野生動物にとって大きな脅威となっており、その増加防止を図りつつ、捕獲等を進めていくことが重要な課題であると考えております。  増加防止対策につきましては、関係市町村において、飼い猫の飼養登録義務違反に対する罰則規定等を盛り込む条例改正が行われたところであります。捕獲等につきましては、徳之島では既に、ノネコの捕獲、収容、譲渡等の対策が行われております。  また、奄美大島では、国、県、市町村等が連携しながら、ノネコ管理計画の策定作業を進めるとともに、地元市町村で構成する奄美大島ねこ対策協議会が、捕獲したノネコの収容施設を整備しているところであり、県といたしましては、今後、ノネコ管理計画に基づき、国、市町村等と連携した取り組みを進めることとしております。    [上山貞茂君登壇] 20 ◯上山貞茂君 御答弁いただきました。  ブリ類の人工種苗供給安定化事業に対しては、漁協の方々も非常に期待しておられます。今回のこういった中間育成試験あるいは選抜育種、ぜひとも成果を出してほしいと私としても考えているところでございます。  次に、JR九州の便数削減とワンマン化への対応等について質問いたします。  昨年十二月にJR九州は、三月に計画するダイヤ改正について発表を行っております。内容は、在来線の大幅な減便や宮崎─鹿児島中央間の特急きりしまなどのワンマン化についても示されているところでございます。しかし、関係自治体からは、JR側から事前の説明がなされなかったことや生活の足の確保への影響などの心配から、強い不満の声が上がっております。
     二〇一四年十月に国土交通省鉄道局が立ち上げたJR九州完全民営化プロジェクトチームの取りまとめでは、交通サービスの提供者としての役割として、JR九州の輸送人員のうち約六割は定期券利用者であり、特に地方部ではその比率が八割を超える路線もあるなど、同社は、通勤・通学等を支える重要な役割を担っており、その輸送サービスは人々の日常生活や経済活動に深く密着し、九州地域の基幹的輸送機関として必要不可欠な存在となっている。また、観光客の足として広く利用され、地域間の交流人口の増大、地域経済活性化及び観光振興に貢献している。JR九州は、自社の鉄道ネットワークが果たしている意義・役割を再認識し、九州地域の発展及び活性化に向けて、不採算路線も含めた必要な鉄道ネットワークの維持、サービスの向上を進めていく必要がある。また、最も重視されるべき安全性の確保、安全設備等への投資をおろそかにせず、必要な安全レベルを確保していかなければならないと、株式上場に当たり、JR九州の役割を認識していたにもかかわらず、今回の唐突と受けとめられる発表に至っています。  新聞報道によりますと、岩切副知事が、「事前の相談があればいろんな協力で手を打てた」と述べておられるように、県や沿線自治体等とJR九州との連携の不十分さを改めて感じるところでございます。  今月十六日、JR九州は、来月十七日から九州全体で新幹線を含む百十七本の減便、鹿児島関係では新幹線と特急・在来線合わせて三十五本の減便を発表いたしました。実質赤字となっている鉄道事業の効率化を理由としていますが、今回のJRのダイヤ改正、特急のワンマン化についてのJRの考え方と本県への影響についてお示しください。  特急のワンマン化については、先日も長崎本線で踏切事故があり、同僚議員が乗った特急列車が一時間二十分おくれましたが、停車中、車掌は苦情処理などに追われ、電車の中を汗だくで走り回っており、「急病人やトラブルの発生時に、果たして電車の運転士一人で対応できるのか疑問を持った」とのことでありました。駅の無人化についても同様でございます。安全面での課題について、県の認識をお聞かせください。  国土交通省九州運輸局の加賀局長は、「JRと影響を受ける各地域は互いに重要なパートナーだ。相手の目線でやりとりするのが大切だ」と述べていますが、民間企業であるJR九州が収益の上がらないところは合理化するというのは、企業経営論で考えれば、ある意味当然と思われます。しかし、かつて線路など一定のインフラ整備に国民の税金が投入されてきたことを踏まえるならば、公共交通機関としての役割を放棄することは許されないのではないでしょうか。  一方で、人口減少等に伴い、一企業だけでは路線を維持できない現状も理解できます。地元紙で前川鹿児島支社長は、「輸送力と輸送量の差があるということで、今回見直しを行った。特に客の利用の少ないものについて、十分に調査して減便させていただく」とコメントしていますが、外国では、交通政策を赤字、黒字だけで議論する国はありません。鉄道の復権は先進国共通の流れです。税金投入について国にも要請すると同時に、自治体としても利用者をふやすための誘導策を講ずる必要があると思いますが、見解をお聞かせください。  次に、本県農業教育の課題でございます。  一月十八日から十九日にかけて、全国の農業高校が和牛肥育技術を競う第一回和牛甲子園が東京食肉市場で開催され、本県鹿屋農業高校の枝肉が肉質で最優秀賞に選ばれました。  今大会には八県十五校、計二十一頭の牛が出品され、本県からは鶴翔高校一頭、鹿屋農業高校から二頭が出品され、審査講評では、「プロ農家の肉に引けをとらない」との評価を得て、参加した生徒の、「今後につながる結果を残せた。他校の飼育法も学べて勉強になった」というコメントが同校のホームページに掲載されています。  昨年の全国和牛能力共進会総合一位に続き、教育界の快挙に対し、深甚なる敬意とエールを送るものであります。生徒たちの熱心な取り組みはもとより、指導に当たった教師やJA技術員などの協力体制が実を結んだ結果と大いに評価するものです。  早速、私ども会派のメンバーが同校を訪問し、激励を兼ね、飼育環境等調査をしてきましたので、以下、現地調査に基づきお尋ねいたします。  まず、実習環境の整備についてであります。  私ども会派はこれまで、農業高校は生産物売払収入の県歳入を生み出しており、こうした収入を学校の実習施設整備など予算措置で還元すべきだと主張してまいりましたが、過去五年間の収入額と還元額を具体的に示してください。  調査によりますと、鹿屋農業高校の牛舎や豚舎などの実習施設は経年的な老朽化も目立ちます。決して中学生に魅力的とは感じてもらえない実態もありますが、鹿屋農業高校の施設を今後どのように整備・改善されるのか、具体的に示してください。  また、第一次産業の担い手を目指す中学生が、農業高校で学びたいとする希望に応え得る魅力ある学習環境の整備・創出として取り組んだ成果と、今後の取り組みについてお示しください。  知事に伺います。  知事は二月十三日に、市来農芸高校で生徒たちとかごしまの未来を語る座談会を開催されました。県内農業高校の全共出場や和牛甲子園出品、そして農業産出額や農林水産物の輸出の伸び、あわせて次世代の若者への期待も含め、絶妙のタイミングと評価するものです。  そこで伺いますが、農業後継者を目指す生徒たちとの語らいで感じた率直な印象と、農業県鹿児島における農業高校の教育環境の課題をどのように認識されたのか。また、こうした座談会の今後のあり方について考えをお聞かせください。  次に、本年十月に鹿児島県を会場に行われる、第六十九回日本学校農業クラブ全国大会に向けた取り組みなどについてであります。  大会は、農業に関する研究発表や意見交換、技術競技会などが実施され、参加者の知識・技能の向上につながり、地域環境保全への貢献や地域活性化の契機という成果を生み出しています。今回は、農業産出額三位を誇る本県における開催でもあります。農業の情勢変化、農業技術の進化を意識した大会とする必要があると考えますが、開催を控えて教育長の見解、意気込みをお示しください。  次に、再生可能エネルギーの推進でございます。  一月二十八日の全国紙で、発電所からの電気を流す基幹送電線の利用率が、大手電力十社の平均で一九・四%にとどまっていることが、京都大学再生可能エネルギー経済学講座の安田陽特任教授の分析で明らかになったとの報道がありました。大手電力会社から、送電線に空きがないとして、新たな再生可能エネルギー設備の接続を認めない送電線が続出していますが、運用によっては導入の余地が大きいことを示しています。ちなみに、九州電力は一五・〇%となっています。  電力各社は、「契約している発電設備の分は稼働していなくてもあけておく必要がある」と話しており、空きゼロが多い背景には、運転停止中の原発や、稼働していない太陽光発電施設向けまで送電線をあけている事情が大きいのではないかと思われます。全ての発電施設が最大出力するまれなケースを想定しての対処に疑問を抱きます。  安田教授は、「送電線の利用実態に合わせるとともに、欧米で一般化している、天候などに応じ送電線を柔軟に運用する手法を使えば、もっと再生可能エネルギーを受け入れられるはずだ」と指摘しています。前出の記事では経済産業省も、欧米で実際の電気量をもとにしたルールによる送電線の運用で再生可能エネルギーが大量導入されていることを踏まえ、検討を始めたとあります。  再生可能エネルギーの供給において全国トップクラスを目指す本県にとって、これらの指摘や意見、経済産業省の検討は歓迎すべきことと思いますが、見解をお聞かせください。  政府は、エネルギー基本計画を踏まえ、二〇三〇年度時点の日本の望ましい電源構成として、再生可能エネルギー二二から二四%、原子力二〇から二二%、石炭火力二六%、天然ガス火力二七%、石油火力三%とすることを決めています。再生可能エネルギーがほぼ倍増する一方、原発の再稼働が前提のエネルギー政策になっています。  河野外務大臣はIRENA総会のスピーチで、「これまでの日本の失敗は、その場しのぎの対応を続けてきた結果だ。二〇三〇年に再生可能エネルギー五〇%以上を掲げるドイツなどと比べて大変低い数字」と言明しています。  知事にお伺いしますが、国が原発をベースロード電源として二〇から二二%としていますが、このことが、再生可能エネルギーでは世界のトップランナーだった我が国が、今や世界からおくれをとっているという現状に甘んじていることに大きな影響を与えていると思われますが、見解を伺います。  以上、四回目の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 21 ◯知事(三反園 訓君)市来農芸高校における座談会での印象等についてであります。  去る二月十三日に市来農芸高校を訪問し、生徒の皆さんから特色ある取り組みを発表していただき、将来の夢や進路、将来の鹿児島の農業等について意見交換いたしました。  生徒からは、将来の農業を担う若者の志や、鹿児島に残って地元に貢献したいとの率直な思いを聞き、大変頼もしく感じたところであります。また、そうした生徒たちの志や思いを実現できるように、農業高校の施設設備など教育環境の充実については、学校の要望や優先度を踏まえた対応が必要であると認識したところであります。  今後も、機会を見ながらこうした座談会を持って、若い皆さんの将来の夢や希望について、膝を突き合わせてともに語り合えればと考えております。  国の再生可能エネルギーの推進に対する見解等についてであります。  国は、現行のエネルギー基本計画において、再生可能エネルギーについて、有望かつ多様で重要な国産エネルギー源と位置づけ、積極的に推進していくこととしております。この計画を踏まえて取りまとめられた長期エネルギー需給見通しにおいても、具体の目標として、安全性の確保を大前提としつつ、震災前をさらに上回る自給率の確保、電力コストの引き下げ、欧米に遜色ない温室効果ガスの削減を定め、これによる二〇三〇年度時点のエネルギーミックスを示しているものと認識しております。  私としては、本県の多様で豊かな自然を活用し、再生可能エネルギーを推進することで、原発に頼らない社会づくりに向けた歩みを少しずつ進めてまいりたいと考えております。 22 ◯企画部長(東條広光君)まず、JR九州のダイヤ改正の影響等についてであります。  JR九州によりますと、今回のダイヤ改正等は、高速道路の延伸による他輸送機関との競合結果や人口減少などにより、鉄道事業は厳しい状況が続くことが予想されることから、列車本数等について見直しを行ったものとのことであります。  しかし、地域には利便性や安全性等に対する懸念が広がりますとともに、新幹線の減便や観光列車はやとの風の定期運行中止については、ことしが明治維新百五十周年の年であり、多くの観光客を迎えようと県を挙げて取り組んでいる中、観光への大きな影響が懸念されるところであります。  次は、特急のワンマン化に係る安全面の認識についてであります。  JR九州の特急のワンマン化については、先行しております大分─宮崎空港間では、案内係員が試行的に配置されておりますが、案内係員を廃止した後の課題が検証されておらず、宮崎─鹿児島中央間への導入は時期尚早と考えているところであります。  県では、同社に対し、宮崎県や沿線自治体等と連携し、その見直しについて要請を行ってきており、引き続き、慎重な対応を求めてまいりたいと考えております。  次に、国への要請や利用促進策についてであります。  県におきましては、これまでも、県開発促進協議会等を通じて、鉄道輸送施設の更新・改良等に対する助成措置等の拡充、路線の維持・存続への配慮について国に要望を行ってきているところであります。また、利用促進策については、県鉄道整備促進協議会において沿線ガイドマップの作成・配布等を行ってきております。  在来線は、地域住民の日常生活に欠かすことのできない、また地域振興にとっても重要な公共交通手段でありますことから、引き続き、国に対して支援の充実を求めるとともに、沿線自治体等と協議しながら、より効果的な利用促進策を検討・実施してまいりたいと考えております。  次は、再生可能エネルギーの導入に向けた電力系統の運用についてであります。  国内におきましては、再生可能エネルギーの導入拡大が進み、従来の運用のもとでは送電網など電力系統への新たな接続が制約されている状況にありますことから、現在、国において、電力系統の空き容量を柔軟に活用し、一定の条件のもとで接続を認める仕組みなどが検討されているところであります。  県内においても、ほとんどの地域で接続が制約されており、この解消は、再生可能エネルギー導入促進の重要な課題となっておりますことから、県としましては、開発促進協議会等を通じまして、再生可能エネルギーの接続が最大限可能となりますよう、引き続き国に要請してまいりたいと考えております。 23 ◯教育長(古川仲二君)農業高校の実験・実習による収入額とその還元額についてであります。  本県農業高校における実験・実習により生じる収入は、野菜、畜産、農産物加工品などの生産物売払収入等でございます。実験・実習により生じる収益は、産業教育振興法第四条の規定に基づき、当該実験・実習に必要な経費に充てるよう努めなければならないとされておりまして、牛、豚のほか、種苗、肥料、飼料、実験用機械器具等の購入費に全額充当しているところでございます。  過去五年間の収入額につきましては、平成二十四年度は二億五千七百万円、以後、各年、二億六千三百万円、二億五千二百万円、二億七千三百万円、二億八千八百万円となっております。  また、歳出額については、平成二十四年度が二億七千七百万円、以後、各年、二億八千五百万円、二億七千七百万円、二億八千七百万円、二億九千九百万円となっており、収入額を超過する歳出額につきましては、一般財源により措置しているところでございます。  鹿屋農業高校の実習施設の改善についてでございます。  鹿屋農業高校の実習施設につきましては、平成十一年度の学科再編に伴う施設の改修を行いますとともに、その後におきましても、堆肥舎、温室、乳牛舎の整備を行ってきたところでございます。また、平成三十年度におきましては、自動給餌器や集ふん設備等を備えた鶏舎の整備を計画いたしております。  御指摘いただきましたとおり、鹿屋農業高校におきましては、建築後三十年を経過した実習施設も多いことから、学習環境の改善に向けて、学校の要望や優先度を考慮しながら、老朽化した施設の更新など計画的な施設の整備に努めてまいりたいと考えております。  次に、農業高校の魅力ある学習環境の整備・創出の成果と今後の取り組みについてでございます。  農業高校におきましては、農業に関する知識や技術・技能の習得を目的としたさまざまな実験・実習に必要な施設の整備に努めているところでございまして、それらの施設設備を活用して、学校の特色ある取り組みに結びついている例もございます。例えば、クリーンルームを備えた食品加工実習室の整備を行った鶴翔高校では、高付加価値のジビエ加工品を開発し、JR九州のななつ星で採用されているところでございます。また、暑熱対策用のミスト装置や自動搾乳機を装備した乳牛舎の整備を行った鹿屋農業高校では、全日本ホルスタイン共進会で優等賞を受賞したところでございます。  今後とも、農業高校の実習施設につきましては、昨年度の鹿児島県における新しい農業教育推進のための検討会からの提言も踏まえ、整備内容などについて検討を行いながら、農業高校の魅力が高まりますよう必要な整備に努めてまいりたいと考えております。  次に、日本学校農業クラブ全国大会に向けた取り組みについてでございます。  本年十月に開催が予定されております第六十九回日本学校農業クラブ全国大会は、五十七年ぶりの本県開催でございまして、全国の農業高校から、農業クラブ員である生徒や関係教職員約五千人が、県内七つの会場において、農業に関する意見発表や、日ごろ習得に励んでいる専門的な技能・技術についての競技などを行うこととしております。  大会では、農業に関する生産・流通・経営やヒューマンサービスなど三つの観点から選択した研究成果の発表や、農業従事者の高齢化など農業を取り巻く喫緊の課題についての分科会での協議等が行われることになっております。  なお、本県の大会では、農業、園芸、畜産等の八つの分野において、専門知識を問う農業鑑定競技に加えまして、畜産県鹿児島での開催であることを踏まえ、七大会ぶりに、生徒が肉牛の比較審査を行う家畜審査競技が実施されることになっているところでございます。  この大会により、全国から集まった農業高校生が本県の歴史、文化等に触れる機会となるとともに、本県の農業高校生が他県の生徒との意見交換等を通して友情を育み、大きな刺激を得る機会となることを期待しているところでございます。  県教委といたしましては、本大会の開催に向けたさまざまな取り組みや大会の成果が今後の農業高校の活性化につながりますよう、支援してまいります。 24 ◯上山貞茂君 自席から、一点だけ質問させていただきます。  鹿屋農業高校に関してなんですけれども、現場を見ていきますと、牛舎、豚舎の老朽化が非常に目立つ状態でございます。県での整備というのはなかなか難しいと思うんですが、農業高校に対する国からの支援というのはございますか。 25 ◯教育長(古川仲二君)農業高校への施設整備について直接的な国の支援というのはございませんので、あくまでも県において整備するということになろうかと思います。  限られた財源の中でございますが、先ほども申し上げましたように、学校からの要望あるいは緊急度等を勘案しながら、計画的な整備に努めてまいりたいと考えております。    [上山貞茂君登壇] 26 ◯上山貞茂君 御答弁いただきました。  私が通告しておりました再生可能エネルギーについての新たな導入ビジョン等については、質問を割愛させていただきますので御了承ください。  今回、県のキャッチコピーも「どんどん 鹿児島」に決まりました。明治維新百五十周年を契機に、かごしまブランド機能の強化、地域観光資源の活用で観光振興を積極的に推し進め、一方で、子育て支援、高齢者の生き生き支援に最大限力を注ぐ姿勢は評価するものです。しかし、それらの支援の背景には、子供の貧困やワーキングプアの厳しい現実、認知症を抱える家族の深刻な問題が横たわっています。働き方改革も、裁量労働制導入で国会が紛糾しているように、長時間労働の改善につながっていくのか不透明でございます。  厚生労働省は、一般低所得世帯の消費実態との比較で、生活保護基準を引き下げるという判断をしているようですが、本来なら低所得者への支援が先で、最低限の生活を保障する基準が引き下がるのは本末転倒ではないでしょうか。一方で、今期の春闘では、安倍首相は、労働者の賃金を三%程度引き上げようとしております。政策に矛盾を感じるところでございます。  今回、県民総合保健センターの位置づけ、今後に期待する施策について取り上げさせてもらいました。外郭団体のことと単純に考えてほしくないと考えたからでございます。県の政策は、行政機関だけで推進できるものではありません。多言語コールセンターにしても、委託業者に業務を依頼して、外国人観光客への支援、観光振興事業を推進させようとするものと理解しております。県民総合保健センターの業務も、時代の変遷とともに、続けるべきは続け、新たな施策を取り入れるという姿勢も必要だと感じております。消防学校もしかりです。  我々県民連合も、県民の福祉の向上に寄与できるように、県政のあるべき姿を議論し、県勢発展に向けて頑張っていくことをお誓い申し上げ、県民連合の代表質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 27 ◯議長(柴立鉄彦君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十九分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 28 ◯議長(柴立鉄彦君)再開いたします。  持冨八郎君に発言を許可いたします。    [持冨八郎君登壇](拍手) 29 ◯持冨八郎君 平成三十年第一回定例会に当たり、公明党県議団として代表質問を行います。  ピョンチャンオリンピックの熱戦に感動の毎日であります。男子フィギュアスケートにおいて、羽生結弦選手がけがを克服して金メダルを獲得したことを初め、四年間、この大会のために節制し、努力・精進してきた全ての選手と関係者の奮闘に心からのエールを送りたいと思います。大きな力と勇気をもらっています。改めてスポーツのすばらしさを感じております。この後、行われるパラリンピックにも大いに期待したいと思います。  本県においても、二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックに続いて、国民体育大会、全国障害者スポーツ大会が開催されます。鹿児島の魅力を全国に発信するとともに、県民が元気になるように、県勢浮揚のための万全の準備をしなければならないと思っております。  それでは、通告に従って、順次質問いたします。  初めに、知事の政治姿勢、本県の当初予算案について伺います。  本県当初予算案の総額は、前年度比〇・一%増の八千百七億円、「新しい未来への航海 どんどん前進」のスローガンのもと、原点は暮らしであるとして、子育て支援高齢者支援に重点を置くとともに、明治維新百五十周年やNHK大河ドラマ「西郷どん」の放映等の好機を逃さず、人材育成や観光振興などに取り組むという知事の意欲が感じられる予算であります。  本県財政は、行財政改革に取り組み、スクラップ・アンド・ビルドの考え方のもと、昨年の九月の試算では七十八億円の財源不足が懸念されましたが、財源不足を生じない予算となり、県債残高も二百十三億円縮小し、平成三十年度末で一兆七百七十七億円の見込みとなりました。財政調整に活用可能な基金残高も、平成三十年度末で前年度と同額の二百五十億円を見込んでおり、全体として財政健全化への取り組みも見られます。  一方で、扶助費の増加や公債費が高水準で推移するなど、歳入・歳出両面にわたって、引き続き緊張感を持って財政運営に当たることが求められています。  そこで第一点、財政健全化に向けた知事の決意を伺います。  第二点、少子高齢化が進む中で、子育て支援に三百四十六億円余り、高齢者支援に二百六十五億円余りの過去最大の予算が組まれたことは評価しますが、スクラップ・アンド・ビルドの方針で予算編成した中で、県民生活への影響について伺います。  次に、新たな県政ビジョンについて伺います。  新たな県政ビジョンについては、先日、素案について、第四回定例会での意見やパブリックコメント等を踏まえた案が示されました。ビジョン策定の趣旨の中で、社会のあらゆる面で大きな変革期にあるという認識を示し、本格的な人口減少や少子高齢化の進行、経済のグローバル化、技術革新の急速な進展等の項目を挙げています。  まさに、時代や社会の変化を的確に掌握し、柔軟に対応していくことが重要であります。また、政策課題には多面的な要素もあり、複眼的な視点も重要であり、数字や統計的な裏づけに基づく客観的な視点が大事であると考えます。  そこで第一点、少子高齢化は県全体でも進みますが、都市部と過疎地域、離島では深刻さが全く違います。地域間格差の視点を入れる考えはないのか、地域間格差にどう取り組むのか、伺います。  また、人口動態についても、県の人口は、二〇三〇年には二〇一五年に比べて十九万四千人減少して約百四十五万人になります。年齢三区分の人口推移は、ゼロ歳から十四歳が、約五万六千人減少して十六万五千人、十五歳から六十四歳は、約十五万七千人減少して約七十七万三千人になります。逆に六十五歳以上は、約三万七千人増加して約五十一万七千人になります。
     子供が減少すれば、保育園や学校の数にも影響します。労働人口が減少すれば、労働者確保の観点から、積極的な移住・交流促進や外国人労働者の受け入れ等も検討しなければなりません。高齢者がふえれば、施設や職員の確保も課題になります。  そこで第二点、新たな県政ビジョンを統計的な視点で見ることで課題が浮き彫りになると考えますが、数字の裏づけを表記する考えはないか、見解を伺います。  次に、総務行政について、初めに、子供・子育て支援について伺います。  今国会で政府が提案している、子ども・子育て支援法改正案などによりますと、都道府県は、関係する市町村、保育事業者や有識者でつくる、仮称待機児童対策協議会を設置できることになります。協議会では、市町村の保育所整備計画、広域利用のための市町村間の調整、必要な保育士の確保・育成策を話し合います。  現在、認可保育所は、子育てする親が暮らしている市町村の施設に入所申請するのが原則となっております。同法改正案では、居住地の保育所が定員オーバーしていても、近くの市町村や保護者の職場がある市町村で受け入れることが可能になります。市町村が保育所を融通し合えるようになれば、待機児童の解消に役立ちます。  また、国が市町村の保育事業に補助することによって、認可移行を目指す認可外保育所の運営費の補助率を、来年度から四割から七割に引き上げる方向で検討されています。  政府は、昨年十二月の経済政策パッケージで、二〇一九年十月の消費税率引き上げによる増収分を財源に、幼稚園と認可保育所、認定こども園を利用する低所得者世帯のゼロ歳から二歳児と、全ての三歳から五歳児の保育料の無償化を決定しました。財源に限りがあるとして対象外にしていた認可外の利用者も支援する方針と報道されました。  そこで第一点、本県における待機児童の状況についてお示しください。  また、広域的な課題について、県の取り組みの現状と今後の取り組みについて伺います。  第二点、本県の保育無償化の対象となる低所得者世帯のゼロ歳から二歳児、及び三歳から五歳児、認可外の利用者の人数を示すとともに、保育料無償化に必要な金額をお示しください。  保育所・幼稚園の保育士等の処遇改善も課題であります。  保育士等の処遇改善策で保育士等に受講が求められているキャリアアップ研修について、国が定めた八科目全てを実施しているのは、八府県にとどまっているとの新聞報道がありました。課題として、今でさえ人手が足りないのに研修に割ける時間がないという声も紹介されていました。  そこで第三点、子ども・子育て支援総合対策事業に位置づけられている保育士等キャリアアップ研修事業の概要、現状と課題について伺うとともに、保育士等の不足数について伺います。  第四点、来年度予算にある、子どものための教育・保育給付事業における処遇改善について、具体的な内容を示すとともに、魅力ある保育環境構築事業について、その効果について伺います。  次に、性犯罪・交通事故被害者等支援事業について伺います。  昨年九月議会の代表質問において、警察に届け出ない性犯罪被害者に対する医療費等の支援について、県民生活局長は、「性犯罪等の被害に遭われた方については、精神的なショックや羞恥心などから警察への相談をためらう方がいることも認識している。今年度、内閣府において、専門のコーディネーターを配置した相談拠点を設置することにより、警察に相談しない被害者の医療費等の公費負担事業を補助対象とする交付金が創設されたところであり、県としては、よりよい支援のあり方について検討してまいります」と答弁されました。  来年度予算案に、性暴力被害者サポートネットワークかごしまに新たに専門のコーディネーターを配置し、ワンストップ支援センターとしての機能を強化するとして、一千六十二万円余りの予算が計上されたことを評価いたします。  そこで、専門のコーディネーターを配置することでどのように変わるのか伺うとともに、どのように周知するのか伺います。  次に、共生・協働の地域社会づくりに関連して伺います。  人口減少や高齢化、少子化、家族形態の多様化、地域における連帯感の希薄化など、時代の変化の中で、行政とともに地域課題を解決していく仕組みをどのようにつくるか、重要で喫緊の課題であります。  共生・協働の地域社会づくりについては、何より住民の理解が大事であります。また、地域を支える人材の確保・育成、多様な組織を結びつける仕組みづくりや、取り組みを支える相談体制、財政的な支援が必要となります。  そこで第一点、自治体の財政も厳しくなる中で、地域課題を地域住民が協力して解決するためには、地域住民の共生・協働の地域社会づくりに対する機運醸成が重要であると考えますが、取り組みについて伺います。  本年度は、新規事業としてコミュニティ・プラットフォーム整備促進事業に取り組んでいると承知しています。コミュニティー・プラットフォームとは、小学校校区や中学校校区等の範囲で、自治会やNPO、子供会、青年団など多様な主体が協働して、地域課題の解決に向けて自主的に取り組むための基盤となるような組織であります。  そこで第二点、コミュニティ・プラットフォーム整備促進事業の取り組みの現状と課題、今後の取り組みについて伺います。  第三点、地域を支える人材等の確保・育成については、コミュニティの担い手育成・支援事業として、地域づくりコーディネーター養成支援事業、地域づくり実践力養成事業等に取り組んでいるところでありますが、現状と課題、今後の取り組みについて伺います。  次に、火山噴火対策について伺います。  一月二十三日、草津白根山で噴火があり、一人が死亡、十一人が重軽傷を負うという事案がありました。  本県には、全国百十一ある活火山のうち十一の活火山があり、中でも霧島山、桜島、薩摩硫黄島、口永良部島、諏訪之瀬島については、国の定める常時観測火山となっております。今回の草津白根山の噴火は、本県にとっても他人事ではなく、噴火の予測、情報発信の方法、噴火への備えが重要であると同時に、難しさも改めて実感いたしました。  今回の噴火は、気象庁が常時観測し、活動状況に応じて噴火警戒レベルを発表している草津白根山の湯釜ではなく、約二キロ離れた鏡池での噴火で、観測用のカメラは設置されておらず、想定外の噴火でありました。報道によると、群馬県や県内の自治体は、ハザードマップを作成して、防災無線や避難壕を設置するなど緊急事態に備えてきたが、十分に生かし切れなかったとのことであります。  そこで第一点、本県の活火山の現状と監視体制について伺います。  第二点、平成二十六年、御嶽山の噴火被害を受けて、政府は、改正活動火山対策特別措置法を施行し、ハザードマップや避難計画の作成を義務づけていますが、本県におけるハザードマップや避難計画等の整備状況について伺います。  第三点、本県における火山爆発に対する情報伝達や避難訓練はどうなっているのか伺い、一回目の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 30 ◯知事(三反園 訓君)財政健全化に向けた決意についてであります。  国においては、経済・財政再生計画に基づく国・地方の基礎的財政収支の黒字化という財政健全化目標は堅持し、歳出改革等を着実に実行することとしておりまして、また、ことしの骨太の方針において、目標達成時期及びその裏づけとなる具体的な計画を示すこととしております。  さらに、本県は、扶助費が増加傾向にありますことや公債費が高水準で推移すると見込まれますことから、今後とも一層厳しい財政状況が続くものと考えております。このようなことから、持続可能な行財政構造を構築するため、引き続き、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組んでいく決意であります。  あわせて、景気回復の動きが確実なものとなり、地域経済の活性化と雇用の安定・確保が図られなければならないと考えておりまして、鹿児島のウェルネスを活用した観光振興、農林水産業の販路・輸出拡大など、県勢発展や県民福祉の向上につながる各般の施策の充実にも努めてまいります。 31 ◯総務部長(寺田雅一君)予算編成におけるスクラップ・アンド・ビルドの方針の県民生活への影響についてでございます。  昨年九月に示した財政収支見通しの仮試算におきまして、七十八億円の収支不足が見込まれましたことから、平成三十年度当初予算要求基準におきましては、一般政策経費の新規事業要求一件につき、事業一件以上を廃止するスクラップ・アンド・ビルドを徹底することとしたところでございます。  具体的には、当初の目的を達成している事業の廃止や、これまでの実績等を勘案して規模を是正する見直し、類似事業の整理統合などを行いますとともに、効率性を考慮しながら、時代のニーズに合った新たな事業の創出、部局横断的な事業統合・連携などにより、相乗効果を生み出せるような事業の創設なども行ったところでございます。  このような取り組みによりまして、子育て支援や高齢者生き生き支援を初めとする県民生活に必要な事業につきましては、予算に盛り込めたものと考えているところでございます。 32 ◯企画部長(東條広光君)新たな県政ビジョンにおける地域間格差への視点等についてであります。  少子高齢化については、特に中山間地域等や奄美・離島地域においてはその進行が著しく、地域コミュニティーの崩壊や地域医療の不足、住民生活を支える地域交通の不足など、さまざまな課題に直面しております。  新たな県政ビジョンにおきましては、こうした地域課題を十分に踏まえ、個性を生かした地域づくりと奄美・離島の魅力の発揮・振興を柱立てしまして、過疎地域や離島地域等における固有の自然、文化、食などを生かした地域づくりや移住・交流の促進、暮らしを支え合う仕組みづくりなどを図ることとしております。また、教育、医療、交通・情報通信などの各施策の基本方向におきましても、条件不利地域における地域間格差の状況を考慮した取り組み等を進めることとしております。  次に、新たな県政ビジョンにおける数字の表記についてであります。  地域の実情・特性に応じた効果的な施策の立案に当たっては、関係するデータの正確な把握と分析が重要であります。このため、新たな県政ビジョンの策定に当たっては、本県の現状・課題等に関する各種のデータの把握と分析を行ったところであります。  今回のビジョン案におきましては、その根拠となります数値をお示ししますとともに、より御理解いただけるよう図表等にしたものも掲載したところであります。 33 ◯県民生活局長(中山清美君)まず、子供・子育て支援に関し、待機児童の状況についてでございます。  本県の待機児童数は、平成二十九年四月一日現在、六市町で三百五十四人となっております。  各市町村では、現在、待機児童の解消に向けて、保育所等の空き状況を踏まえながら、保護者の希望に沿った保育所等を利用できるよう鋭意調整に取り組んでおります。待機児童が発生している六市町では、保護者が居住地以外の市町村で勤務し、勤務先市町村の保育所等を希望する場合などに、随時関係市町村と広域利用の協議を行っております。  県は、市町村からの要請があれば必要な支援を行いますが、これまでに要請はないところです。  国は、市町村の待機児童解消等の取り組みを支援するため、都道府県が関係市町村等と協議できる場を設置できるよう法律の一部改正を行う予定であり、県としては、国の動きを注視しながら、広域利用を促進するなど、待機児童の解消に向けて積極的に取り組んでまいります。  保育料無償化についてでございます。  本県の無償化の対象となる利用者数は、平成二十九年度は、国の調査によりますと、住民税非課税世帯のゼロ歳から二歳児が約九百人、三歳から五歳児が約三万三千人となっております。  保育料無償化に関する推計につきましては、子ども・子育て支援新制度に移行していない幼稚園における利用者負担額が不明確であり、また、少子化という利用者の減少要因がある一方、保育所等の利用者の増加傾向という増大要因がありますことから、利用者数及び金額については現段階での積算は困難でございます。  なお、認可外保育施設の利用者数は平成二十八年三月末現在で約四千二百人であり、国においては現在、無償化の範囲などを検討中でございます。  保育士等キャリアアップ研修事業についてでございます。  国においては、保育士等がやりがいを持って働き続けられるようキャリアアップの仕組みを構築し、処遇改善の要件としてキャリアアップ研修を創設しました。  研修の実施に当たっては、対象者や研修の回数などが相当数に上り、保育所の勤務体制の調整や離島の保育士等の旅費などの課題がございますが、当研修は、保育士等の処遇改善や資質向上を図る上からも重要であると考えております。そのため、来年度予算には、八分野の研修について離島を含む県内各地で実施することとしておりまして、所要の経費を計上いたしております。  また、保育士等の不足数につきましては、鹿児島労働局の求人・求職の状況を見ますと、本年度の常勤保育士の有効求人数は昨年四月から十二月の平均で約七百九十人、有効求職者数は約四百七十人で、差は約三百二十人であり、平均の有効求人倍率は一・六八倍となっております。  保育士等の処遇改善についてでございます。  子どものための教育・保育給付事業における処遇改善に関する予算につきましては、職員の勤続年数や経験年数に応じた五%相当の人件費加算や、国家公務員の給与改定相当分、副主任保育士や専門リーダーなど個々の技能・経験に応じた加算分を計上いたしております。  魅力ある保育環境構築事業については、昨年十月に、保育事業者を対象として処遇改善に係る啓発セミナーを開催したほか、十二月から一月にかけて、保育士等の給与等実態調査を実施しました。その結果、処遇改善に意欲を示した事業者は、現在、社会保険労務士による個別の指導・助言等を受けております。これらの成果を三月開催のセミナーで広く周知することとしておりまして、こうした取り組みにより、保育士等のさらなる処遇改善を図ってまいります。  次に、FLOWERへの専門のコーディネーターの配置等についてでございます。  性暴力被害者サポートネットワークかごしま、通称FLOWERは、ワンストップ支援センターとして、県、県警察、かごしま犯罪被害者支援センター、県産婦人科医会の四者連携により被害者支援を行っておりますが、来年度から、専門のコーディネーターを配置した相談拠点を設置することとしております。  これにより、被害者からの相談が一元化され、医療機関への付き添いなど、より円滑に支援を進めることができ、警察への相談をためらう被害者の医療費等の公費負担が可能となるなど、ワンストップ支援センターとしての機能の強化が図られるものと考えております。  県としては、今後、性暴力被害者がより相談しやすくなるよう、相談窓口や支援の内容などについて、リーフレットやホームページ、SNSなどの広報媒体を活用し、県民に周知してまいります。  共生・協働の地域社会づくりの機運醸成についてでございます。  地域課題の解決のためには、みんなで取り組む機運の醸成が重要と考えております。このため、県政広報番組や「グラフかごしま」などの広報媒体や共生・協働センターの展示スペースなどを活用し、共生・協働の地域社会づくりの必要性や各地域の先駆的な事例を紹介しているほか、県のコミュニティ推進協議会において、研修会や優良団体の表彰などを実施しております。  また、地域づくりの実践者と支援者をつなぎ、各地域での取り組みにつながりますよう、意見交換などを行う鹿児島未来百七十人会議や、NPO等の活動に対する関心を高め、県民の地域貢献活動への参画を促進するためのイベントを開催するなどの取り組みを行っております。  コミュニティ・プラットフォーム整備促進事業についてでございます。  県内において、コミュニティ協議会などのコミュニティー・プラットフォームが整備されている市町村の数は十三あり、未整備が三十となっております。現在、南九州市や曽於市など五市町において、公民館など既存の組織を生かした新たなコミュニティー・プラットフォームづくりに向けた検討を行っており、県では、整備を促進するため、地域コミュニティーに関する専門的な知識を有するアドバイザーによる助言や、住民の意識の共有を図るためのワークショップに対する講師派遣などを行っております。  今後とも、さらに事業の周知を図りながら、市町村と連携し、地域の実情に応じたコミュニティー・プラットフォームづくりを促進してまいります。  地域を支える人材等の確保・育成についてでございます。  地域づくりコーディネーター養成支援事業につきましては、地域におけるさまざまな団体間の調整などを担う人材を養成するため、民間団体などが行う研修の受講者に対し助成を行っており、これまで四十二人が事業を活用しております。  また、地域づくり実践力養成事業につきましては、各地域の課題に応じた取り組みをみずから企画し、実践できる人材を養成するため、地域の意見を反映させながら企画書を作成する講座を開催しており、これまで延べ四百八十一人が受講しております。  今後、こうした人材が県内各地で多様な主体と連携し、地域づくりに取り組んでいく必要がありますことから、より多くの団体等とつながるための場づくりを行いますとともに、持続可能な取り組みのための専門家によるノウハウ支援を新たに行うなど、フォローアップに努めながら、人材の確保・育成を図ってまいりたいと考えております。 34 ◯危機管理局長(田崎寛二君)火山噴火対策についてのお尋ねのうち、まず、本県の活火山の現状と監視体制についてであります。  本県の十一の活火山のうち、五つの火山で噴火警戒レベルが導入されており、活発な火山活動が続いております。桜島や口永良部島では入山規制の噴火警戒レベル三、諏訪之瀬島では火口周辺規制のレベル二、薩摩硫黄島では活火山であることに留意のレベル一が適用されております。また、霧島山の新燃岳は昨年十月に六年ぶりに噴火し、レベルが三に、霧島山の御鉢では今月九日に火山活動の高まりを受け、レベルが二にそれぞれ引き上げられたところであります。  本県の活火山の監視体制につきましては、霧島山、桜島、口永良部島などの五つの火山では、気象庁や京都大学などが地震計や傾斜計、衛星測位システム、監視カメラ等により地殻変動等の常時観測を実施しているほか、開聞岳など六つの火山でも随時観測を実施しております。  本県の火山におけるハザードマップや避難計画等の整備状況についてであります。  火山ハザードマップにつきましては、五つの常時観測火山全てで作成されております。避難計画につきましても、現在、霧島山の御鉢につきまして霧島市が作成を進めており、全ての火山で作成される見込みであります。また、薩摩硫黄島、口永良部島、諏訪之瀬島につきましても、今年度、登山者も含めた計画に見直すこととされております。  こうした見直し等は、県や関係市町村、防災関係機関、火山専門家等で構成する火山防災協議会で既に了承されており、今後、関係市町村の地域防災計画に反映されることとなっております。  本県における火山爆発に対する情報伝達や避難訓練についてであります。  火山で噴火が予想され、気象庁から噴火警戒レベル四以上の噴火警報が発表された場合、Jアラートにより市町村の防災行政無線が自動起動し、屋外スピーカー等から瞬時に情報が伝達されることになっております。また、県防災情報ネットワークシステムで気象庁からの情報を市町村等に自動配信することとしております。  避難訓練につきましては、桜島では、鹿児島市と共催で、多くの住民等が参加し、フェリー等を使用した桜島火山爆発総合防災訓練を実施しております。また、離島防災訓練では、火山災害を想定した避難誘導訓練等を実施しております。霧島市では、市総合防災訓練の中で、これまでも火山の噴火を想定した避難訓練も行われているほか、昨年度は、平成二十三年度に続き二回目の新燃岳避難訓練として、登山者等の救出・救助訓練や住民避難訓練が行われております。  県におきましては、今後とも、関係市町村や防災関係機関と連携を図りながら、火山防災対策の充実に努めてまいります。 35 ◯持冨八郎君 自席から二点、再質問させていただきたいと思います。  新しい県政ビジョンにつきまして、地域間格差の視点が重要であると申し上げましたけれども、先ほど、「地域の課題や特徴を生かして、今、計画をつくっている」という答弁だったかと思います。  重ねて確認いたします。例えば地域振興局とか、そういう地域ごとにビジョンを策定する考えがあるのかどうか、お答えいただきたいと思います。  もう一点は、コミュニティー・プラットフォームについてですけれども、先ほど、「設置が十三、未設置が三十」という答弁でございました。  県政ビジョンにも、共生・協働の地域社会づくりというのはうたわれているわけでありますけれども、例えば小学校校区でつくるんだとここに書いてありますが、小学校校区は五百九、中学校校区は二百十九ありますけれども、これはどういう目標を立て、そして実現していくのかということ。  もちろん市町村の事業でありますので、市町村を応援しながらやっていくと、連携しながらやっていくということであろうかと思いますけれども、どう取り組むのかということと、進んでいるところはいいんですけれども、進んでいないところはなかなか進まないというのが現実でありますので、そういうところに重点的にやらなきゃいけないと思いますが、どんな取り組みをされるのか、お伺いいたします。 36 ◯企画部長(東條広光君)地域振興局・支庁ごとにビジョンをつくるのかというお尋ねでございますけれども、新たな県政ビジョンにつきましては、県内各地域の地域課題を十分に踏まえた上で策定しようとしているところであります。ビジョンの策定後は各地域振興局・支庁におきまして、それぞれに地域の有識者や各分野のリーダーあるいは市町村等で構成します懇談会を開いていただきまして、ビジョンの周知啓発を図りますとともに、ビジョン実現のために、地域で必要な取り組み等について意見交換を行いたいと考えているところであります。  この懇談会で出されました、地域に特有の課題あるいはその解決方法などについての提言につきまして検討を行った上で、新たな県政ビジョンに沿いまして、各地域振興局・支庁における地域振興の取り組み方針などとして取りまとめをしたいと考えているところでございます。 37 ◯県民生活局長(中山清美君)コミュニティー・プラットフォームの整備についてのお尋ねでございました。  コミュニティー・プラットフォームは、議員おっしゃいますように、小学校区や中学校区などの範囲において、さまざまな主体が連携・協力して、地域課題の解決に自主的に取り組むための基盤となるものでございます。その姿は、それぞれの地域において、地域の実情に応じた形のプラットフォームづくりを促進することが重要であると考えているところです。  県といたしましては、先ほど申し上げましたコミュニティ・プラットフォーム整備促進事業の中で、例えば地域コミュニティーの役割や必要性などについて、地域住民のワークショップを行うなどの取り組みに対して支援を行っておりますので、それぞれの地域の要望に応じて丁寧に対応してまいりたいと考えております。    [持冨八郎君登壇] 38 ◯持冨八郎君 コメントは後にいたしまして、質問を続けます。
     次に、企画観光建設行政、初めに、大規模スポーツ施設の検討について伺います。  大規模スポーツ施設の整備については、各界の有識者から成る検討委員会が、総合体育館やドーム球場、サッカースタジアムのあり方について検討を重ね、先般、提言がなされたところであります。  新たな総合体育館については、現在の県総合体育センター体育館が老朽化していること、全国・国際レベルの競技大会の開催等には狭隘であること等から、県のスポーツ振興を図る上で、早期に新たな総合体育館を整備する必要がある。また、新たな総合体育館に求められる機能については、本県のスポーツ振興の拠点としての機能に加え、多目的利用による交流拠点としての機能があることが望ましい。いわゆるアリーナ的概念の施設が望ましい。  参考意見として、鹿児島のオリジナリティー、経済性に配慮した施設、既存施設等との役割分担、アクセス環境や周辺の街との連携等、整備に当たっての視点が述べられております。  そこで、平成三十年度当初予算案の総合体育館基本構想策定事業に一千百万円余りの予算が計上されておりますが、整備の場所や規模、スケジュール等の基本構想は、どのようなメンバーで、どのような手順で策定するのか伺います。  次に、地域おこし協力隊について伺います。  人口減少や高齢化等が急速に進む中で、地域力の維持・強化を図るためには、担い手となる人材確保が重要な課題であります。一方で、生活の質の向上や豊かな自然、歴史、文化等に恵まれた地域で生活することや、地域へ貢献したいという人もふえています。  総務省は、地域外の人材を積極的に誘致するとともに、地域力の維持・強化に取り組むために、地域おこし協力隊を受け入れる自治体を財政的に支援しております。同協力隊の活躍が全国的に広がり、定着しつつある一方で、先日、奄美の首長さん方と懇談した折に、特別交付税として支援されているのか、支援に上限があるのかなど不明な点があるとお聞きし、自治体間で取り組みに差があるように思いました。  そこで第一点、地域おこし協力隊については、地方自治体が取り組む場合、特別交付税として財政措置がなされていると理解しておりますが、本県の現状について伺います。  第二点、大分県の竹田市では、四十数名を受け入れるなど積極的に取り組んでいると聞いていますが、本県における地域おこし協力隊の現状と課題、今後の取り組みについて伺います。  次に、奄美パークについて伺います。  先月、奄美パークを視察いたしました。平成二十八年度から三十年度にかけて、奄美の郷展示のリニューアルが進められているところであります。一方で、ここ数年、老朽化が進むとともに、台風時期など被害が多く、修繕費がかさんでいるのも現実であります。また、展望台については、本館から距離があるとともに、案内方法や活用方法等に工夫が必要ではないかと思われました。  世界自然遺産登録を目前にして、奄美の文化や観光の情報発信の拠点として、奄美パークの整備と積極的な活用が重要であると考えます。  そこで第一点、奄美パークの入館者及び修繕の現状について伺います。  第二点、奄美パークの展示リニューアル等の改修について伺うとともに、今後の活用策について伺います。  第三点、田中一村記念美術館について、彼の創作にかけた生きざまは感動的であり、独創的な作品が展示されております。どんどん多くの人に情報発信すべきであると考えますが、取り組みについて伺います。  次に、離島の車検について伺います。  二十六の有人離島を有する本県にとって、離島振興は県政の重要課題であります。平成二十九年四月から有人国境離島法が施行され、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金が創設されたことにより、輸送費支援を初め、離島への支援措置が拡充され、条件不利性の緩和等が図られております。  一方で、公共交通機関がない小規模な離島にとって、住民の貴重な移動手段は車でありますが、車検場のない離島においては、車検のたびに車検場のあるところまで船で搬送し、車検を受けなくてはならず、大きな経済的負担となっております。車検制度は国の制度でありますが、車検場がないのは住民の責任ではありません。条件不利性の最たるものであります。  これまでも、本会議、委員会の中で何回も質問してまいりましたが、「県開発促進協議会等で要望しております」という答弁でありました。島民の強い要望でもありますので、再度質問いたします。  第一点、本県における車検場のない離島の数、車検対象となる車両の数を示すとともに、全国にも車検場のない離島が多くあり、共通の課題であると考えますが、他県との連携や国との協議についての現状を伺います。  第二点、本県独自に輸送費の一部でも支援する考えはないのか、伺います。  次に、鹿児島港本港区エリアのまちづくりについて伺います。  鹿児島港本港区エリアのまちづくりについては、本年度の調査・検討でサウンディング調査が行われ、その結果を含め、先般、報告がなされたところであります。  報告書では、本港区エリアの活用方策の検討について、開発のコンセプトとして、一、かごしまの多彩な魅力を発信する人・モノ・情報の交流拠点、二、かごしまの魅力を体感できるエンターテイメント空間、三、景観資源─錦江湾や桜島、歴史的建造物─を生かした魅力ある空間を要素として、年間三百六十五日、国内外の幅広い観光客や県民でにぎわい、国際的な観光都市にふさわしい来て見て感動する観光拠点の形成を図るとしております。  そこで第一点、サウンディング調査の実施結果について伺います。  第二点、今後はグランドデザイン策定の検討がなされるものと考えますが、検討の進め方やスケジュールについて伺います。  次に、産業経済行政について伺います。  初めに、中小企業対策について伺います。  日本経済の屋台骨を支える中小企業・小規模事業者への支援は何より重要であります。最優先すべきは、深刻な人手不足に対応した生産性の向上であります。仕事はあるが人手が足りない、機械化しようにも設備投資の資金が足りないという切実な声に応えた取り組みが求められています。  この点、国の二〇一七年度補正予算案に、ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業─ものづくり補助金─が一千億円計上されました。試作品やサービス開発に係る費用について、一千万円を上限に二分の一を補助します。同種の補助金は二〇一二年度からスタートし、これまで約五万二千件が採択されました。都内にあるメッキ加工会社は、同補助金を使ってレーザー加工などでメッキ工法の技術開発を進めて、経営者は、「生産コストを減らす可能性があり、大変ありがたい支援策だ」と話しています。  また、税制改正大綱では、中小企業の設備投資に対する固定資産税の軽減措置を拡充いたしました。二〇二〇年度までの三年間限定で、自治体の判断により、中小企業が新たに購入した生産性の高い機械や器具に係る固定資産税率を、二分の一からゼロまで下げられる特例措置を創設しています。こうした思い切った施策は設備投資を力強く後押しすると考えます。  気になるのは、支援策の周知徹底であります。ある経営者は、「さまざまな制度を知る機会が余りない。ダイレクトメールを郵送するなどして現場にきちんと伝わるよう工夫してほしい」と語っています。  そこで第一点、本県の中小企業・小規模事業者を取り巻く現状と、これからの支援に係る県の取り組みについて伺います。  第二点、税制改正大綱による中小企業の設備投資に対する固定資産税の軽減措置について、本県の具体的対応について伺います。  第三点、中小企業に対する政府の制度の周知が大事ですが、国がすべきことではありますが、県としても、本県の九割以上を占める中小企業支援の一環としてしっかり取り組むべきと考えますが、取り組みへの決意を伺います。  次に、漁業振興について伺います。  すしなどの食材として使われる太平洋クロマグロやニホンウナギが絶滅危惧種に指定されていることに加え、秋の味覚として名高いサンマの漁獲量も減っています。実は今、こうした日本の食卓になじみ深い魚に限らず、多くの魚類が激減しています。事態を重く見た国連加盟国は昨年十二月、特に公海の海洋生物を保護する条約づくりを目指し、政府間交渉を開始することを決めました。  排他的経済水域─EEZ─を越えた先に広がるのが公海であります。面積は、海全体の約三分の二を占めます。どの国の管理も及ばない海域であるため、誰でも自由に魚をとることができ、乱獲が起きやすく、過剰な漁獲をやめさせることはとても難しいのであります。  一九九五年に、回遊性魚類のとり過ぎを防止するため、漁獲量を調整するなどして管理する国連公海漁業協定が国連総会で採択され、日本を含む八十七カ国が参加しています。しかし、同協定を無視した違法・無報告・無規制漁業が横行しているのが実情であります。日本でのサンマの不漁も、日本のEEZに回遊してくるはずのサンマが、公海で他国に先に乱獲されていることが主な原因の一つであるとされています。  新たにつくられる条約では、公海に海洋生物保護区域を設定する規定を盛り込むことを目指しており、国連公海漁業協定における問題を踏まえ、実効性を伴う形で公海の海洋生物を保護できるかどうかが課題となっております。  そこで第一点、この条約に対する本県の認識を伺います。  第二点、本県の回遊性魚類の現状と課題について伺うとともに、今後の取り組みについて伺います。  また、漁業については、新規就業者など担い手の育成が重要です。高性能の漁船や漁業用機器の導入により競争力を高めるとともに、国内消費と、さらなる輸出の拡大に向けて戦略的に支援すべきであります。  そこで第三点、漁業の担い手育成の支援対策等にどのように取り組まれるのか、伺います。  養殖ウナギ生産日本一の鹿児島県内では、昨年十二月十日に漁が解禁されてから四十五日間で、三十キロ余りしかとれていません。過去五年間で最少であります。改めて、中長期的視野に立った資源保護に本格的に取り組まなければならないと考えます。  そこで第四点、ウナギの資源増殖対策事業が計上されておりますが、事業内容と成果について伺います。  次に、農業振興について伺います。  TPP11、日本とEUとの経済連携協定などを受け、我が国の農林水産業は新たなステージを迎えています。政府は、TPP11やEUとの経済連携協定─EPA─が発効した場合の経済効果について、国内総生産─実質GDP─の押し上げ効果が、TPP11で約八兆円、日EU・EPAで約五兆円が見込まれると試算結果を公表しました。自由貿易のメリットが伝わる数字ですが、関税の削減・撤廃により輸入品の価格が安くなることで、国内産業とりわけ農業に及ぼす影響が懸念されます。  政府には対策に万全を期してほしいと思います。生産者が安心と希望を持てるよう国内対策を着実に実行し、世界に誇れる成長産業を構築するチャンスにしなければなりません。その鍵は若い人の確保と育成であります。  農業については、就農の準備段階から実際の就農開始、そして経営が確立するまでの一連の流れに寄り添う支援が不可欠であります。次世代の農業を担う人材へ大胆に投資し、若手農業者の育成にスピード感を持って取り組むべきであります。  こうした新規就農者を初め、農家が安心して生産に励むためには、それを支えるセーフティーネットが不可欠であります。公明党が強く後押ししてきた収入保険制度が来年一月からスタートしますが、現場への丁寧な周知と加入促進に努めていただきたい。  また、守りから攻めに転じるための取り組みも重要であります。例えば、日本の農産物は、その品質や安全性が海外で高い評価を受けています。こうした日本ブランドを最大限に生かした輸出振興策が求められています。  しかし、国内で開発された農産物が、海外において無断で栽培、販売される例が相次いでいます。昨年は、農林水産省所管の研究所が開発したブドウのシャインマスカットが、また、ことしも、栃木県が開発したイチゴのとちおとめがいずれも海外で勝手に栽培や品種交配されたことが確認されました。  日本には、新たな品種を開発した場合に、種苗法に基づく品種登録により、国内で独占的に販売できる権利である育成者権を開発者が取得できる制度があります。また、同様の品種登録制度を義務づけた、植物の新品種の保護に関する国際条約があり、同条約の加盟国で品種登録すれば無断栽培や販売を防ぐことができます。問題は、海外での品種登録は事務的・経済的に負担が大きいため、実際に手続を行う育成者が少ないことであります。  この点、二〇一八年度の国の予算案に植物品種等海外流出防止総合対策事業として、海外での品種登録にかかる費用の補助に加え、手続に必要な手順をわかりやすくまとめたマニュアルの作成などが盛り込まれた意義は大きいと考えます。  そこで第一点、本県における農業担い手確保の現状と今後の取り組みについて伺います。  第二点、現在、協定の発効に向けた手続が進められているTPP11や、日EU・EPAによる国際的な経済連携が進展している状況を踏まえ、攻めの農業に転じるための具体的な取り組みについて伺います。  第三点、本県が育成した品種で、海外において無断で栽培や販売が行われた例があるのか。また、県として、今後の海外での品種登録に向けた考え方について伺い、二回目の質問といたします。 39 ◯企画部長(東條広光君)初めに、総合体育館基本構想の策定についてであります。  総合体育館につきましては、来年度、基本構想を策定することとしており、当初予算案に総合体育館基本構想策定事業を計上し、整備予定地を初め、施設規模や施設構成、大まかな整備スケジュールなどについては、この構想でお示しすることとしております。  構想の策定に当たっては、大規模スポーツ施設在り方検討委員会の提言を十分に踏まえ、コンサルタントを活用し、また、専門家の助言もいただきながら、必要な調査・検討を行っていくこととしているところであります。  次は、本県の地域おこし協力隊の現状等についてであります。  県内では、昨年十二月末現在、三十八市町村で百五十名の隊員が活動しており、特産品づくりや地域間交流の促進、空き家の活用など幅広い分野において、地域の方々と連携した取り組みが行われております。  隊員の活動が円滑に行われるためには、特に、受け入れ市町村と隊員が活動の目的等について共通認識を持つとともに、隊員を受け入れ地域につなぐなど、受け入れ市町村による十分なサポートが重要であると考えており、県では、これまで、受け入れ市町村に対し、研修等を通じて、隊員へのサポートに関する取り組み事例を紹介するほか、総務省作成の地域おこし協力隊受け入れの手引などの活用促進に努めているところであります。  このほか、市町村の募集活動への支援や隊員への研修機会の提供などにも取り組んでおりまして、今後とも、地域おこし協力隊制度の積極的かつ円滑な活用が図られますよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、車検場のない離島の現状等についてであります。  島内で車検が受けられない離島は、県内では、三島村と十島村の全島、獅子島、口永良部島、加計呂麻島、請島、与路島の十五島であります。離島統計年報によりますと、平成二十六年四月現在の車検の対象となります車両台数は、軽自動車は十五島全体で千四百七十八台、乗用車などは、加計呂麻島など統計上把握できない四島を除き、三百八十三台となっており、合計で千八百六十一台となっております。また、全国では、本県を含め二十二道県、百七十七島に及んでおります。  このように、車検場のない離島の問題は全国的な課題でありますことから、離島関係都道県で構成します離島振興対策協議会においては、平成二十七年度から、離島の条件不利性の改善を図る施策の一環として、車検に係る補助制度の創設を国に要請してきているところであります。  県としては、このような補助制度は全国に共通する制度として設けられるべきものと考えており、その実現に向けて、県開発促進協議会等も通じて、今後とも国に対し強く要望してまいります。 40 ◯総務部長(寺田雅一君)地域おこし協力隊に係る特別交付税措置についてでございます。  地域おこし協力隊員の設置等に係る特別交付税措置は、国が定める地域おこし協力隊推進要綱において、隊員募集に要する経費については一団体当たり二百万円を上限に、隊員の活動経費については一人当たり四百万円を上限に措置するなどと定められているところでございます。  平成二十八年度の実績で申し上げますと、県内市町村で合計百十三名が委嘱されているところ、要綱の規定に基づきまして、三十六市町村に対し約三億六千万円が措置されているところでございます。 41 ◯PR・観光戦略部長(西 啓一郎君)奄美パークに関しまして、三点お尋ねいただきました。  まず、奄美パークの入館者及び修繕の現状についてでございます。  奄美パークは、奄美の郷と田中一村記念美術館を中核施設としており、奄美群島全体の観光・情報発信の拠点として、その認知度が定着してきております。LCCの就航や平成二十九年の奄美群島の国立公園指定なども相まって、入館者数は近年増加傾向にありまして、平成二十八年には入館者数二百万人を達成したところでございます。平成二十八年度の入館者数は、奄美の郷が約七万人、田中一村記念美術館が約三万五千人、奄美パーク全体では約十万五千人となっております。  施設及び設備等につきましては、開園以来十六年が経過していること、また、立地が海に近いことなどから、経年による劣化や塩害による腐食などが見られる状況になっております。このため、観光客の方々に快適に利用していただけるよう、空調・井水設備の改修や必要な修繕を逐次行い、施設機能の維持を図っているところでございます。  次に、奄美パークの改修と今後の活用策についてでございます。  奄美パークは、奄美の世界自然遺産登録がなされた際には、奄美群島全体の観光・情報発信の拠点としてのこれまでの役割に加え、来訪客へ世界自然遺産の価値をガイダンス的に伝える役割も担うことになります。このため、平成二十八年度から三十年度にかけて展示のリニューアルを行い、世界自然遺産の概要や価値を発信する機能を追加し、観光客の方々に奄美群島の自然や生活文化をより深く学んでいただく施設としての充実を図っているところでございまして、あわせて、園内の歩道改修や案内板の設置等を行い、施設の魅力や利便性の向上を図ることといたしております。  また、園内では、田中一村の描いた草木を植栽した一村の杜や、奄美のすばらしい自然や海を一望できる展望台の整備を行ってきているところであり、これら園内の周遊も促進し、観光客や地元の方々にも奄美の魅力を一層感じてもらえるような施設となるよう努めてまいります。  次に、田中一村記念美術館の情報発信についてでございます。  田中一村記念美術館は、奄美の自然を描き続けた日本画家田中一村の作品を常設展示する美術館であり、入館者数は近年、増加傾向にございます。同美術館では、絵画を通じて奄美の魅力を群島内外に発信するため、奄美を描く美術展、田中一村記念スケッチコンクールなどのさまざまなイベントを実施しているところでございます。  これに加えまして、ことしは田中一村の生誕百十周年に当たる年でございまして、また、奄美の世界自然遺産登録が見込まれておりますことから、一村をテーマとした特別企画展の実施や、県外においても展示会が計画されているところでございます。この機会を生かしまして、奄美の自然を描いた画家田中一村とともに、一村が愛してやまなかった奄美の豊かな自然や多彩な文化の魅力を広く発信してまいります。 42 ◯土木部長(渡邊 茂君)鹿児島港本港区エリアのまちづくりについてでございます。  平成二十九年度に行った民間提案・対話、いわゆるサウンディング調査に参加した全十八団体が、錦江湾や桜島の良好な景観や大規模な敷地が活用できることなどを理由に、鹿児島港本港区エリアのポテンシャルを高く評価しており、国内外の幅広い観光客をターゲットに集客の確保やエリアの魅力向上等を図るため、物販や飲食、娯楽、宿泊、観光機能など多様な提案がなされたところです。  また、集客面で民間開発との相乗効果を創出するために導入が望ましい公共施設として、市電延伸などが提案されたほか、定期借地権方式とする場合の借地期間など、事業参画の条件や交通アクセスなど、事業化に当たっての課題についても意見が出されたところであり、合わせて十二団体から事業への参画意向が示されたところです。  以上の調査結果から、同エリアにつきましては、民間活力の導入を基本に活用方策の検討を進め、国際的な観光都市にふさわしい、来て見て感動する観光拠点の形成を図ることとしたところです。  平成三十年度は外部の有識者などから成る検討委員会を設置し、今回の調査結果を踏まえてグランドデザインを検討することとしております。その過程においては、実現性の高い事業スキームとなるよう、さらに具体的な事業計画などの提案を民間事業者から募集したいと考えており、その提案などを参考に同委員会で御意見をいただきながら、平成三十年度末までにグランドデザインを策定していきたいと考えております。 43 ◯商工労働水産部長(酒匂 司君)まず、中小企業・小規模事業者を取り巻く現状と県の取り組みについてでございます。  国におきましては、少子高齢化に対応し、持続的な経済成長をなし遂げるため、生産性革命と人づくり革命を掲げ、各種施策に取り組むこととしております。  このような中、本県中小企業等の現状は、経営者の高齢化や人材不足の深刻化といった構造的な課題に加え、需要の停滞や原材料の価格上昇などにより、厳しい状況にございます。このため、地域資源を活用した付加価値の高い製品の開発や海外への販路拡大、イノベーションによる生産性の向上など、中小企業等が活力を維持していくための施策を展開していくことが重要でございます。  このようなことから、県では、中小企業等の経営革新や創業、事業承継、人材育成、研究開発等に対する支援に加え、IoT、AIなどの導入や製造業の海外取引に向けた支援等にも取り組んでいるところであり、今後とも、これらの取り組みを通じて、県内産業の振興を図ってまいりたいと考えております。  次に、中小企業の設備投資に対する固定資産税の軽減についてでございます。  国におきましては、今国会に提出予定の生産性向上特別措置法案に基づき、市町村が認定する中小企業の設備投資について、市町村の条例により固定資産税を軽減することを可能とする地方税法の特例措置を講じることとしております。  県では、今月開催した平成三十年度税制改正等市町村説明会において、この特例措置の内容等の説明を行ったほか、中小企業庁が本日、福岡市で開催しております生産性向上特別措置法案に係る説明会について、県内市町村への周知を図ったところでございます。  県といたしましては、今後とも、市町村に対し必要な情報提供等に努めてまいりたいと考えております。  次に、中小企業・小規模事業者に対する国の支援制度の周知についてでございます。  中小企業等の支援につきましては、創業から事業承継に至る各段階に応じた支援制度が有効に活用されるよう、国や県、関係機関等が相互に連携し、その周知を図っていくことが極めて重要であると考えております。このため、県では、金融機関や商工団体、行政等で構成する、かごしま中小企業支援ネットワークを昨年五月に設置し、支援策等の情報共有や周知・協力など、連携の強化に努めているところであり、また、国の各種支援制度につきましても、かごしま産業支援センターや県内商工団体等において、各種研修会の開催やホームページ、メール等による情報発信等を通じて、中小企業者の方々等に周知が行われているところでございます。  次に、公海の生物を保護する新たな条約についてのお尋ねでございます。  お尋ねのあった、公海の生物を保護する条約の制定に向けた国連の動きについては、新聞報道により承知いたしておりますが、現在までのところ、国の対応が明らかにされていないところでございます。今後とも、国等の動向を注視してまいりたいと考えております。
     次に、本県の回遊性魚類についてのお尋ねでございます。  本県の主要な回遊性の水産資源といたしましては、マアジ、マイワシ、サバ類やカツオ・マグロ類がございます。そのうち、沿岸・沖合のマアジ等につきましては、排他的経済水域等を適用範囲とする国内法としてのいわゆる漁業主権法により、外国人の漁業行為等を許可制とし、また、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律に基づき、国が毎年、県別に魚種ごとの漁獲可能量を定めるなど、海洋生物資源の適切な保存及び管理が図られております。  一方、太平洋を広く回遊するカツオ・マグロ類につきましては、国連海洋法条約及び国連公海漁業協定に基づき、国際的な漁業管理機関により資源管理がなされ、特にクロマグロは、国別の漁獲割り当て制による資源管理措置の強化がなされております。  今後とも、国や関係機関と連携し、適切な資源の管理と持続的な利用の推進に努めてまいりたいと考えております。  次に、漁業の担い手育成についてでございます。  本県水産業を取り巻く情勢につきましては、国内の水産物消費が減少している一方、海外では需要が増大していることから、今後は一層の輸出促進に取り組む必要があると考えております。そのような中、県におきましては、漁業就業を希望する方々のために、これまでザ・漁師塾を開催し、入門研修や実践研修の実施に努めてまいりましたが、平成三十年度におきましては、さらに漁業就業者の安定的な確保・育成を図るため、県漁連に漁業学校を新たに設置することといたしております。また、就業後においても、国の漁船リース事業や制度資金等により経営を支援することといたしております。  さらに、県内の地域振興局等の普及指導員が漁業や養殖技術に関する指導等を行うとともに、中核的漁業者を対象に漁業士として認定するほか、漁業者グループが行う所得向上のための取り組みも引き続き支援することとしております。  次に、ウナギの資源増殖対策事業についてでございます。  ウナギ資源の減少が懸念されている中、将来にわたって維持・確保していくことは必要不可欠なことであることから、県水産技術開発センターにおきましては、国の水産研究・教育機構や関係県等と連携し、シラスウナギの来遊や川に生息するウナギの生態調査、効果的な放流手法の検討や簡易魚道の開発等に取り組んできております。その結果、放流した養殖ウナギの生残率が大型よりも小型のほうが高いこと、また、川に設置された堰堤を上らせる対策として、コスト面や作業効率性にすぐれた簡易な魚道が有効に機能することなどを確認したところでございます。  また、これらの成果につきましては、内水面漁協及び養鰻業者やシラスウナギ採捕者等で構成する協議会の場等で発表し、その普及に努めているところでございます。 44 ◯農政部長(川野敏彦君)農業振興に関するお尋ねのうち、まず、次世代の農業を担う担い手の確保・育成についてでございます。  本県の基幹産業である農業を持続的に発展させるため、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針において、担い手を一万経営体確保することとしておりまして、特に、新規就農者の確保・育成は重要な課題となっております。  県では、新規就農者の確保に向けまして、県内外での就農相談や農業大学校での教育・研修などに取り組むとともに、就農後の経営確立に向けましては、農業次世代人材投資資金の活用などのほか、今年度から新たに、かごしま農業経営塾の開催にも取り組んでいるところです。こうした取り組みによりまして、例年三百人前後の新規就農のほか、農業法人への新規雇用も進んでおります。  今後とも、関係機関・団体と一体となってこれらの取り組みを積極的に展開し、本県農業の将来を支える意欲ある担い手の確保・育成に努めてまいります。  次に、国際化の進展を踏まえた、攻めの農業についてでございます。  県では、生産基盤の強化など守りを固めながら、攻めの農業を展開していくこととしており、今年度策定する農林水産物輸出促進ビジョンでは、平成三十七年度の県産農畜産物の輸出額を、平成二十八年度の約七十三億円の二倍以上となる約百六十億円まで拡大していくこととしております。  目標の実現に向けて、本県の強みを生かせる鹿児島黒牛やかごしま黒豚、お茶などを輸出重点品目とし、また、今後の輸出の伸びが期待できる香港等アジア諸国や米国などを輸出重点国・地域とするとともに、「つくる」、「あつめる・はこぶ」、「うる」の三つの視点から戦略的な取り組みを展開していくこととしております。  平成三十年度は、輸出相手国の残留農薬基準に対応した生産技術の指導や定期船便等を活用した低コスト輸送の実証などに取り組むこととしており、当初予算案に所要の経費を計上したところです。  今後とも、輸出促進ビジョンに基づきまして、オール鹿児島での輸出拡大を目指すなど、攻めの農業を展開してまいります。  次に、海外での品種登録の取り組みについてでございます。  県が育成し、種苗法に基づき国内で登録した品種は、出願中も含めまして、花卉や水稲、野菜など六十品種ありますが、これらが海外において無断で栽培や販売が行われた事例については、現在のところ承知しておりません。  我が国が加盟しております、植物の新品種の保護に関する国際条約では、自国内で品種登録した後、一定期間内に相手国で登録すれば育成者権が保護されることとなっておりますが、経済的な負担などから海外での登録は進んでいないとされております。そのため、国においては昨年度から、海外出願経費の支援や相談窓口の設置などを行っているところです。  県育成品種の海外での品種登録につきましては、海外における需要動向なども見きわめながら、国の事業の活用も含め、今後検討していく必要があると考えております。 45 ◯持冨八郎君 自席から、まず、大規模スポーツ施設の検討についてですけれども、知事は、「提言を受けて、今後、県において総合体育館の整備に関する基本構想を策定したい」と述べられました。また、昨日の自民党県議団の代表質問に、「整備予定地を初め、整備規模、施設構想、大まかな整備スケジュールなどについては構想で示す」と答弁されました。  そこで、四点伺います。  一点目、県においてというのは、どこがこの案をつくるんですか、スポーツ施設対策室でしょうか。  二点目、「専門家の助言もいただきながら」とも言われましたが、この専門家というのは、有識者会議等をつくるということでしょうか。どんな人にどんな立場で助言をいただくのでしょうか。  三点目、「コンサルタント業者を決める」と言われましたけれども、コンサルタント業者の選択方法やスケジュールについて伺います。  また、提言の中には、本県のスポーツ振興の拠点としての機能、アリーナ的な概念の施設とありますけれども、従来の総合体育館の構想の中に武道館や弓道場も当然含まれていると思いますが、見解を伺いたいと思います。四点目。  それから、鹿児島港本港区まちづくりのサウンディング調査について、対話への参加応募が十八団体ということでしたが、県内・県外の内訳を教えてください。  二点目、自民党県議団の代表質問に、「具体的な事業計画等の提案を民間事業者から募集したい」と答弁されましたが、事業計画の募集のスケジュールを教えてください。  三点目、「平成三十年度は外部有識者などから成る検討委員会を設置する」と答弁されましたが、検討委員会の委員の考え方、人数、スケジュールについて教えてください。  四点目、サウンディング調査報告の中で、導入機能、活用方策について、飲食機能が十一団体、物販機能が十団体に続いて、交流機能でコンベンション施設・スポーツ施設・イベントスペースが九団体、これが三番目になっておりました。開発のコンセプトからはスポーツ施設が外れているわけですけれども、その理由を教えてください。 46 ◯企画部長(東條広光君)総合体育館の基本構想の策定についてお尋ねがございました。  最初に、県において策定するのか、誰が策定するのかということでございますけれども、この基本構想の策定に当たっては、今年度設けておりましたような、大規模スポーツ施設在り方検討委員会のような有識者で構成する委員会の設置等は考えておりません。県で調査・検討を行っていくということでございます。  二つ目には、助言を得る専門家はどのような方々を想定しているのかというお尋ねでございましたけれども、調査・検討の過程におきまして、専門的な知見が必要なそれぞれの分野に応じた専門家の方々を想定しているところでございます。  コンサルタントについてでございますけれども、コンサルタントにつきましては、県において調査・検討を行う際に、その支援を行っていただくことを想定しておりまして、選定につきましては、来年度の事業実施について現在、詳細検討中でございます。  あと、武道館は含まれるのかということでございますけれども、現在、提言いただきました総合体育館ということで検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。 47 ◯土木部長(渡邊 茂君)ただいま、鹿児島港本港区エリアのまちづくりにつきまして、持冨議員から四点御質問いただいたかと思います。  一点目、今回のサウンディング調査において提案いただいた団体の、県内・県外の内訳というお話でしたけれども、今、手元に資料を持ち合わせておりませんので、申しわけありませんがお答えすることができません。申しわけありません。  それから、二点目、三点目ですけれども、来年度、平成三十年度の検討スケジュール、また、委員会をつくるということですけど、委員の考え方という二点であったかと思います。これにつきましても、今後具体的に検討を進めてまいりたいと思っておりまして、委員会につきましては、外部の有識者の方を念頭に置きながら検討を進めてまいります。  さらに、提案いただいた中の施設の内訳等について御質問いただいたかと思います。  民間事業者との対話におきましては、十七団体から活用方策の提案をいただきました。その中に、スポーツ施設というのは三団体からのみでありまして、物販機能については十団体、そして飲食機能については十一団体、そして娯楽機能については七団体から、さらに、コンベンションやイベントスペースといった交流機能については六団体から提案いただいたところであります。  この対話におきまして、本港区エリアのポテンシャルを高く評価されていることから、十二団体から事業への参画意向を示されたということがございました。ですので、同エリアにつきましては、民間活力の導入を基本に活用方策の検討を進めることとしたところであります。  また、ドルフィンポート敷地を含みます鹿児島港本港区エリアにつきましては、年間三百六十五日、国内外からの観光客でにぎわうような魅力的な港、もう一回行ってみたいというリピーターが訪れてくれるような観光地にしたいという考え方に基づきまして、これまでも県議会であるとか知事の定例記者会見で、「ドルフィンポート敷地にサッカースタジアムなどスポーツ施設は考えていない」と申し上げてきたところであります。 48 ◯持冨八郎君 もう一点、確認します。  今、庁内、「県において検討する」と言われたわけですが、そうしますと、この一千百十四万円の予算というのは何に使う予算でしょうか。 49 ◯企画部長(東條広光君)先ほど御説明申しましたけれども、コンサルタントの支援を受けることとしておりますので、そういった委託料等が含まれてございます。    [持冨八郎君登壇] 50 ◯持冨八郎君 質問を続けます。  次に、環境厚生行政について、昨日の自民党代表質問にもありましたが、奄美大島等の漂着油事案について伺います。  先月から、奄美大島や十島村、屋久島などに油状のものが漂着し、環境や漁業資源への影響が懸念されております。一方、奄美大島の西三百十五キロメートルで沈没したタンカーから、油の流出も確認されているところであります。  奄美海上保安部によると、二月一日、奄美市名瀬の朝仁海岸に油状のものが漂着しているとの通報があり、また、大きさが数センチから二十センチほどの黒い塊が広い範囲で漂着しているとのことであります。  知事も二月十五日には現地調査され、「国や市町村とも連携し、回収作業に全力で取り組みたい」と思いを語られたと聞いております。  そこで第一点、油の漂着の現状と対応策について伺います。  第二点、環境や漁業への影響と世界自然遺産登録への影響について伺います。  次に、認知症対策に関連して伺います。  認知症については、政策立案検討委員会のワーキンググループのリーダーとして提言作成にかかわらせていただきました。改めて、認知症対策が今日的課題であると実感いたしました。  厚生労働省の推計によると、認知症の人は、二〇一二年時点で全国で約四百六十二万人、団塊の世代が後期高齢世代になる二〇二五年には約七百万人、高齢者の約五人に一人になるとされております。  本県においても、要介護認定者のうち、認知症の症状が見られる認知症高齢者の日常生活自立度ランクII以上の高齢者は約六万三千人で、六十五歳以上の要介護・要支援認定者の六割を占めています。  このような現状を考えると、政策提言にもありますように、認知症は県民一人一人にとって身近な問題であり、県民一人一人が認知症に対する正しい理解を深めることが求められており、認知症になっても本人の意思が尊重され、安心して暮らしていける社会をつくること、そして認知症の人や家族に寄り添って歩む相談体制や支援の仕組みをつくることが喫緊の課題であります。  また、六十五歳未満で発症する若年性認知症は、就労や子育てなど深刻な課題があり、相談内容が多岐にわたることから、行政の縦割りの壁を越えて相談や支援の仕組みづくりが求められております。  知事は、議会からの提言を受けて、施政方針の中で、「認知症に対する正しい理解等に向けた普及啓発のために、県民週間を設ける」と明言されました。  国際アルツハイマー病協会と世界保健機関は、認知症に対する正しい理解が重要であることから、共同で、九月二十一日を世界アルツハイマーデー、九月を世界アルツハイマー月間と定めて、認知症への普及啓発に努めています。国内においては、ポスターやライトアップ、講演等による活動が広がっています。  そこで第一点、世界の各国や全国の各県と連携して運動を進めるために、本県においても、九月に認知症を周知する県民週間を設け、イベント等を開催する考えはないか、伺います。  第二点、キッズサポーターの養成など、特に、子供のころからの認知症に対する正しい理解が重要であると考えますが、本県における取り組みの現状と今後の取り組みについて伺います。  第三点、認知症の人や家族が相談する窓口の環境整備と周知に努めるべきと考えますが、取り組みについて伺います。  第四点、認知症の人やその家族を支える認知症カフェについて、本県の現状と今後の取り組みについて伺います。  第五点、若年性認知症についての相談体制、支援体制の現状と課題、今後の取り組みについて伺います。  今後、高齢者が増加することを考えますと、認知症の人を含めて、高齢者等を地域で支えていく仕組みとして、地域包括ケアシステムの構築が県政の重要な課題であります。視察で訪問した京都府では、知事が中心になって、大学や医師会、自治体関係者等、関係の団体が参加し、年四回の理事会を開くなど連携を深めて、オール京都の体制で取り組んでおりました。  そこで第六点、知事が中心になって、仮称鹿児島地域包括ケアシステム構築推進機構をつくって、オール鹿児島で地域包括ケアシステムの構築を推進する考えはないか、見解を伺います。  次に、文教警察行政につきまして、通告しておりました教員の働き方改革に関連してと、「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」に関連しては、時間の関係で要望といたします。  国においては、昨年十二月、文部科学省の中央教育審議会が、教員の負担軽減策を示した中間まとめを発表しました。同まとめでは、教員が担う業務と地域住民等が分担できる業務を整理して、教員の勤務時間に関して、上限の目安となる指針を策定すべきであるとして改善に向けて取り組もうとしています。  本県においても、学校における業務改善方針案を策定するとともに、平成三十年度当初予算案にも、学校における働き方改革推進事業と部活動適正化推進事業が計上されており、教員の働き方改革が進むよう要請しておきます。  「燃ゆる感動かごしま国体」の開催まで九百五十三日、第二十回全国障害者スポーツ大会「燃ゆる感動かごしま大会」まで九百七十四日となりました。競技力向上に努めるとともに、競技施設の整備や競技役員の確保・養成、大会成功に向けた県民の機運醸成、全国からの来客をもてなし、鹿児島の魅力を全国に情報発信するために、知事を中心に全庁挙げた、万全の準備を要請しておきます。  次に、教育旅行等について伺います。  若くて多感な時期に異文化に触れることは、教育的にも大きな意義があると考えます。特別委員会でシンガポールとタイを訪問いたしました。県人会の皆様や企業で活躍されている皆様と懇談した際、「なぜこちらで働くようになったのですか」と聞いたところ、「若いころ旅行で来ました」、「青年海外協力隊の経験があります」、「海外出張がきっかけです」など、若いときに海外の異文化に触れることが重要であると改めて実感いたしました。  本県においても、以前は多くの高校等が海外に教育旅行に行っていたようでありますが、九・一一以降、極端に少なくなっているように思います。  そこで、本県における教育旅行の現状と今後の取り組みについて伺います。  また、若者のパスポート取得の現状についてもお示しください。  次に、県立高校の出願状況に関連して伺います。  先日、二〇一八年度公立高校入学者選抜の出願状況が発表されました。同発表によると、学力検査は七十校百五十五学科、定員一万一千四百十七名に対する出願倍率は〇・八九倍で、平成になって最低となっています。定員割れも六十校百十六学科となっています。  生徒の進路について、多様な選択肢を提供することは望ましいことではありますが、ここまで定員割れが大きくなると、入学者選抜の制度が問われます。七十校中六十校、百五十五学科中百十六学科の定員割れということは、定員の設定に問題があるのではないかと考えます。生徒数が減少する中で、適正な学校規模、学習環境等について検討する必要があるのではないかと考えます。  また、楠隼高校については、出願者数がゼロということで極めて深刻な状況であります。  そこで第一点、出願状況をどのように受けとめているのか伺うとともに、あり方検討委員会等で定員について見直しする考えはないのか、伺います。  第二点、楠隼高校について、出願者がゼロという深刻な事態をどのように受けとめているのか。また、説明会等には参加者があったと聞いておりますが、出願に至らなかった理由を伺うとともに、今後の取り組みについて伺います。  次に、自転車事故等に関連して伺います。  我が国の自転車保有台数は約七千二百万台と言われております。自転車は、身近な移動手段であると同時に環境にも優しく、健康増進にも役立つ便利なアイテムであります。一方で、乗用車等と異なり、免許を取る必要がないため、便利ではありますが、道路交通法やマナーを周知する機会が限定的であります。日常的にも、二人乗りやスマートフォンを操作しながらの、ながら運転など、危険な場面を見かけることがあります。  国においては、交通安全の教育・啓発等が盛り込まれた自転車活用推進法が公布され、昨年五月一日に施行されております。  本県においては、昨年、かごしま県民のための自転車の安全で適正な利用に関する条例が施行されたところであります。条例の趣旨を県民に周知し、自転車事故撲滅に取り組まなければなりません。  そこで第一点、本県における自転車にかかわる事故の現状について伺います。  第二点、自転車利用について、道路交通法やマナー等の周知についてはどのようになされているのか、伺います。  第三点、地域の方との会話の中で、自転車条例の認知度が低いと感じられますが、啓発や周知の方法を示すとともに、今後の具体的な取り組みについて伺います。  第四点、自転車にかかわる事故において訴訟も起きていますが、主な訴訟の例を示すとともに、保険の加入状況と加入促進に向けた取り組みについて伺い、三回目の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 51 ◯知事(三反園 訓君)奄美大島等の油状漂着物の環境、漁業、世界自然遺産登録への影響についてであります。  奄美群島沿岸を中心に油状の物質が漂着していることから、海岸への漂着や回収の状況の確認等を目的に、今月十五日に奄美大島に赴き、職員とともに回収作業を行ったところであります。  漂着による漁業被害につきましては、これまでは確認されておりませんが、現在国におきまして、水産資源への影響調査や野生生物、生態系等への影響把握調査を実施しているところでありまして、県といたしましては、引き続き、国とも連携しながら情報収集に努めることとし、必要な情報については随時公表することとしております。  今後とも、漁業や観光への風評被害が生じないよう回収作業に万全を期してまいります。  また、奄美の世界自然遺産推薦地は陸域の森林に限られていることから、環境省は、登録とは全く関係ないとしておりまして、県としても同様の考えであります。
    52 ◯環境林務部長(古薗宏明君)油状漂着物の現状と対応策についてであります。  去る一月二十八日に宝島、二月一日に奄美市の朝仁海岸に油状の物質が漂着していることが確認され、その後、奄美地域全島と屋久島、十島村全島においても確認されました。  県では、今月七日に回収作業マニュアルを作成し、県、市町村の職員を中心に、国の職員や住民の方々の御協力もいただきながら回収作業等に取り組んでおり、回収量は今月十八日時点で約九十トンとなっております。回収作業はこれまでおおむね順調に行われており、全体としては漂着物が減少しておりますが、引き続き、全力で回収作業に取り組むこととしております。 53 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)認知症施策に関してお尋ねがありました。  まず、県民週間についてであります。  県におきましては、県議会からの政策提言を踏まえ、平成三十年度当初予算において、新たに県民週間の設定やシンポジウムの開催等に取り組む事業費を計上するなど、認知症の正しい理解のさらなる普及啓発や認知症高齢者等に優しい地域づくりに向けた機運の醸成を図ることとしております。  県民週間等の設定時期につきましては、効果的な普及啓発を図る観点から、市町村や関係団体と調整することとしており、御提案の内容も十分踏まえながら、今後具体的に検討を進めてまいります。  子供への認知症の正しい理解の普及、認知症の人の相談窓口、認知症カフェの現状と取り組みについてであります。  本県におきましては、小・中学生の認知症に対する正しい理解の普及を促進するため、市町村が認知症サポーター養成講座を開催しており、平成二十八年度は二十一市町村の八十八校で実施されております。  国の認知症施策推進総合戦略─新オレンジプラン─では、学校教育等において、認知症の人を含む高齢者への理解を推進するとしており、県としても、引き続き、市町村や教育委員会等と連携を図りながら、学校において講座を開催するなど、普及啓発の機会の確保に努めてまいります。  認知症の人や家族に対する相談窓口については、県の委託を受けました、認知症の人と家族の会鹿児島県支部が電話相談に対応しているほか、地域包括支援センターにおいても、電話や面接、訪問等による相談を行っております。また、認知症疾患医療センター等が開設する認知症カフェにおいても相談に応じております。  今後とも、相談窓口の拡充を図りますとともに、ホームページや認知症ケアパスへの掲載、各種広報誌の活用などにより、さらなる周知に努めてまいります。  認知症カフェにつきましては、平成三十年一月末現在、二十三市町村で六十九カ所が開設されております。県としては、平成三十二年度までに全ての市町村において認知症カフェ等の開設がなされるよう、市町村などに働きかけてまいります。  若年性認知症の相談・支援体制の現状、課題と取り組みについてであります。  若年性認知症の相談・支援体制については、認知症の人と家族の会鹿児島県支部に配置している若年性認知症支援コーディネーターを中心に、電話等による相談への対応、地域包括支援センターとの連携体制の強化、本人・家族の交流会の開催などに取り組んでおります。  若年性認知症については、症状が進行してから診断される人が多いこと、発症後の生活維持が困難になることなどから、地域における早期診断・早期対応や生活支援の仕組みづくりをさらに進める必要があると考えております。  今後とも、若年性認知症支援コーディネーターを核とした取り組みを強化するとともに、支援を円滑に行うための関係者による会議を開催するなど、若年性認知症の人とその家族への支援の充実に努めてまいりたいと考えております。  地域包括ケアシステム構築推進機構についてであります。  地域包括ケアシステムは、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援が一体的に提供される仕組みであり、国の考え方を踏まえ、日常生活圏域を念頭に置いて、市町村が中心となって構築に取り組んできたところであります。県におきましても、人材育成、先駆的取り組みの情報提供、関係団体等との連携強化等に努めるとともに、広域的対応が必要な事項については地域振興局・支庁単位で取り組みを進めるなど、市町村を支援してきたところであります。  県といたしましては、これまでの取り組みを踏まえた上で、市町村や関係団体が参画する協議の場を設定するなど、地域包括ケアシステムの機能強化が図られるよう努めてまいりたいと考えております。 54 ◯教育長(古川仲二君)本県における教育旅行の現状と今後の取り組みについてでございます。  本県の公立高校の海外への修学旅行につきましては、平成十一年度に最も多い四十九校が実施いたしましたが、平成十三年のアメリカ同時多発テロや平成十四年のSARSの発生等もあり、急速に実施校が減少し、平成二十年の原油高騰後は毎年度五校程度で推移してきているところでございます。  本年度は、公立高校三校四学科で実施され、計三百二十人が参加しており、このうち二校は、アメリカ、台湾において現地の大学や高校との交流を行っております。このほか、公立高校六校では、地元自治体や同窓会等の一部支援を受け、計六十人の生徒を五日から二十日間程度、アメリカやイギリスなどに派遣しているところでございます。  県教委といたしましては、海外への教育旅行を通して異文化への理解を深め、外国語によるコミュニケーションを体験することは大変意義深いことと考えており、校長会等において、県による国際定期路線利用への助成制度等について周知を図っているところでございます。  今後とも、県立高校において海外への修学旅行が選択肢の一つとして検討されるよう、指導してまいりたいと考えております。  次に、県立高校の出願状況についてでございます。  県立高校の募集定員の策定に当たりましては、学区ごとに普通科系と専門系の学科の選択肢を提供するという基本的な考え方のもと、中学校等卒業予定者の進路希望状況、地域、学校等の実態等を考慮いたしますとともに、将来の生徒数の推移等を総合的に勘案した上で、学校や地元関係者にも意見を十分聞きながら、毎年度策定いたしているところでございまして、平成三十年度につきましては二学級を削減したところでございます。  入学者選抜において、出願者数が定員に満たない学校が多くなっていることにつきましては、中学校等卒業者数が大幅な減少傾向にある中で、一学年三学級以下の小規模校が公立高校全体の四割にまでふえたこと、専門学科においては募集定員の削減が即学科自体の廃止になる場合もあることなど、生徒減少に応じた募集定員の削減が容易でないことが主な要因であると考えております。  次に、楠隼高校の出願者確保の取り組みについてでございます。  楠隼高校については、受験機会の確保の観点から、二月に実施する従来の選抜に加えまして、定員を満たさなかった場合に、三月の公立高校入学者選抜を実施するよう変更いたしたところでございますが、定員を満たしていないことにつきましては大変重く受けとめているところでございます。  楠隼高校の出願者数確保につきましては、説明会等の内容を工夫するとともに、参加者への継続的な情報提供など、楠隼の特色ある教育活動の周知に取り組んできたところでございますが、まだ高校生の進学等の実績が出ていないなど、教育活動の実績を具体的に示せていないことが影響したのではないかと考えているところでございます。  今後は、高校一期生の進学等の実績など具体的な成果を示しますとともに、教育関係者等へのより広範な呼びかけなど、効果的な広報のあり方などについて検討するなど、学校と連携し、出願者確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 55 ◯PR・観光戦略部長(西 啓一郎君)若者のパスポート取得の現状についてでございます。  本県の平成二十八年の旅券発行数は二万三千八百八十九件、そのうち十二歳以上二十歳未満が三千百三十八件、二十歳以上三十歳未満が五千二百四十件、両者を合わせ、全体の三五・〇%を占めております。また、発行数を推計人口で割って試算した旅券発行率は、十二歳未満を含む二十歳未満が一・五九%、二十歳以上三十歳未満が四・〇九%となっております。 56 ◯警察本部長(河野 真君)本県における自転車の関係する人身事故は、平成二十七年は六百三十七件、平成二十八年は五百六十七件、平成二十九年は五百六十二件の発生であり、このうち死亡事故は、平成二十七年は七件、平成二十八年は十件、平成二十九年は五件発生しております。  事故事例といたしましては、自転車が十字路交差点を直進する際に、左から進行してきた普通乗用車と衝突して自転車運転の高齢男性が死亡した事故や、自転車が歩道を走行中に、建物内から歩道へ出てきた高齢女性と衝突して重傷を負わせた事故などがあります。  次に、自転車利用マナー等の周知状況等についてであります。  県警察では、自転車利用者の交通ルールやマナーの周知徹底を図るため、毎月八日を自転車指導啓発日に指定し、取り締まりやヘルメット着用の指導を行っているほか、小・中学生に対する自転車安全教室、各種イベントにおける自転車シミュレーターを活用した体験型の交通教育、各種広報媒体を活用した広報啓発活動などに取り組んでいるところであります。  今後とも、これらの活動を通じて自転車の事故防止に努めてまいりたいと考えております。 57 ◯県民生活局長(中山清美君)自転車条例の啓発等の取り組みについてでございます。  県では、これまで、各季の交通安全運動におけるキャンペーンや啓発イベントの実施、各種会議等を通じた広報のほか、小・中学校や高校、関係団体などへのチラシの配布、周知徹底の呼びかけ、保護者への周知依頼など、条例の理解促進を図るため、市町村や関係機関等とも連携しながら、周知啓発に取り組んできております。  これまでの取り組みによりまして、小・中学校や高校などの教育関係者や保護者などの理解は深まっているものと考えておりますが、今後も、自転車の安全で適正な利用を推進するため、県民全体のさらなる理解促進を図る必要があるものと考えております。  県としては、引き続き、各種キャンペーン等における啓発やチラシなど各種媒体を利用した広報など、さまざまな機会を活用して、県民全ての方への条例の周知啓発に取り組んでまいります。  自転車保険の加入促進の取り組み等についてでございます。  自転車にかかわる訴訟としては、神戸地裁が、坂道を下ってきた小学生が歩行者に衝突し、歩行者が意識不明となった事例で約九千五百万円の、横浜地裁が、高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で歩行者と衝突し、歩行者に障害が残った事例で五千万円の賠償を命じた例がございます。  条例施行後の保険の加入状況については、県交通安全協会や自転車販売店からの聞き取りによりますと、施行前と比較し大幅に増加しているとのことでありますが、さらなる加入促進が必要でありますことから、今月から県のホームページに、自転車損害賠償保険等を取り扱う事業者の情報の掲示を始めております。  県としては、引き続き、県警察や教育委員会、市町村、関係団体などと連携を図りながら、キャンペーンなど各種広報を通じて、自転車損害賠償保険等への加入義務の周知を行い、加入の促進を図ってまいります。 58 ◯土木部長(渡邊 茂君)先ほど手元に数字がありませんと申し上げました、鹿児島港本港区エリアまちづくりのサウンディング調査の参加団体の内訳でございます。  県外十、県内八ということになっております。失礼いたしました。 59 ◯持冨八郎君 自席から、教育長に質問したいと思います。  公立高校の定員割れにつきましては、以前も私、質問しましたが、同じ答弁だったと記憶しております。  先ほどは率だけ申し上げましたが、今回、出願者が、市来農芸高校の生活科が四十名中十名、山川高校の生活情報科が四十名中十一名、鹿屋農業高校の生物工学科が四十名中九名、与論高校は定員八十に対して一名です。  確かに、簡単に減らすことは子供たちの選択肢を減らすということで、慎重でなければならないと思います。しかし、今後十年間で七百五十人ぐらい中学校の卒業生は減るわけでありまして、そう考えると、しっかりと危機感を持って検討するということは大事ではないかと思いますが、そのことについて伺いたいと思います。  もう一点は、楠隼高校についても、もう何回も指摘してまいりましたが、同じ答弁で、卒業生がまだ出ていないのでというお話ですけれども、これは大きなお金をかけてつくった、本当に県政の大事な事業でありました。そういう意味では、本当に危機感を持って募集に当たらなければ、学校自体を変えていかなきゃいけないような事態になるかもしれない。そういう危機感をお持ちかどうか。その二点をお答えください。 60 ◯教育長(古川仲二君)募集定員の件と楠隼高校の件についての再度の御質問がございました。  御質問にありました二点とも、私自身としては大変な危機感を持っているわけでございますが、冒頭の一つ目の募集定員の策定につきましては、先ほど申し上げましたように、それぞれの学校の実情あるいは地域の実情等さまざま異なるところがございますので、統一的な基準のもとにそれを策定していくというのはなかなか困難なものがあろうと思います。  そういうことで、それぞれの学校の実情等を踏まえながら、それぞれの関係者あるいは学校の意見等も十分踏まえながら、個々の学校ごとの策定を行っているという状況でございますので、その点は御理解賜りたいと思っております。  それと、楠隼高校の出願者の確保につきましては大変危機感を持っているところでございますが、今春、第一期の高校生が卒業いたします。その高校生の卒業後の進路実績等についてもきちんと広報しながら、実績を踏まえた上で、さらに強力な広報活動を展開していきたいと考えておりますが、先ほど申し上げましたように、塾関係も含めて、広く教育関係者等にこの情報を提供していきたいと考えているところでございます。    [持冨八郎君登壇] 61 ◯持冨八郎君 それぞれ答弁いただきました。  新たな県政ビジョンについては前向きの答弁をいただいたかなと思っております。県の県政ビジョンが一段落してから、また地域振興局あたりできちっとした方針をつくって、地域間格差にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  性暴力被害者サポートネットワークかごしまに専門のコーディネーターを配置されることで、大きく前進すると考えます。また、コーディネーターの人選に当たっては、女性を配置するなど、相談しやすい環境と丁寧な周知を要請しておきます。  共生・協働の地域社会づくりについては、先般、知事も、やねだんを訪問されたと伺いました。新たな県政ビジョンにも、共生・協働かごしまの実現がうたわれております。ただ、やねだんのように進んでいるところはいいんですが、進んでいないところをどうするかが本当に課題だと思います。全県に広げるためには、県民の共生・協働に対する理解促進と、その地域を担う人材の確保・養成が急がれるので、よろしくお願いしたいと思います。  地域おこし協力隊については、国も財政的な支援をし、また、地域の活性化に大きな力になると考えております。市町村とも連携して、しっかりと活用ができるようによろしくお願いしたいと思います。  奄美パークについては、奄美の観光や文化の重要な発信拠点でありますので、交通アクセスも含めて、整備と活用に力を入れていただきますようによろしくお願いします。  離島の車検につきましては、何回も取り上げてきておりますが、公共交通機関がない離島にとっては本当に切実な問題であります。一回運搬しますと四万円から七万円の費用がかかります。そういう意味では、どこに住んでもサービスが受けられる、本当にそういう条件不利性を解消するためにも、国にもしっかりお願いするし、県としても何らかの支援ができるように要望したいと思います。  認知症対策については、県民週間を設けるということで提案したわけですけれども、市町村とも調整してということでありますけれども、本当に県民に身近な問題でありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  教育旅行につきましては、本当に激減しております。若いときに異文化に触れることは非常に重要なことだと、また、生徒や保護者の皆さんが不安を感じることも理解できるところでありますけれども、幕末の薩摩スチューデント英国留学生がその後、時代を開く活躍をしたことを考えますと、若い人たちに海外への目を向ける環境をつくってあげることが必要であると思っております。  自転車事故等につきましては、県の条例の周知がいま一つであります。身近で便利な自転車でありますが、危険と隣り合わせでもあります。道路交通法やマナー啓発とともに、訴訟も起きておりますので、保険加入の促進も要請しておきたいと思います。  県政の重要課題等について質問してまいりました。  最後に、一言申し上げたいと思います。  新たな県政ビジョンについて、地域間格差の視点、統計的な手法を用いた客観的な視点が大事であると申し上げました。  県民は、南北六百キロメートルの広大な県土に、都市部、過疎地域、離島などさまざまな環境で生活しております。地域間の格差や地域の特徴を踏まえた各地域ごとのビジョンが必要であると考えております。また、統計的な数字を出すことによって、客観的な視点により課題が明確になり、現実的な対策ができると思っております。  共生・協働の地域社会づくりをどのように実現するのか、また、県立高校の出願状況の深刻な定員割れについてどのように対応していくのかなど、現実的な取り組みが急がれております。  知事、県の均衡ある発展と、条件不利の例として離島の車検の例を質問しましたけれども、県民の切実な課題に寄り添った政策で、どこに住んでいても、鹿児島に生まれてよかった、鹿児島に住んでよかったと言われるように頑張っていただきたいと思います。  公明党県議団は、県民目線、現場主義を肝に銘じて懸命に働いていくことをお約束し、代表質問を終わります。(拍手) 62 ◯議長(柴立鉄彦君)ここで、改めて教育長から発言を求められておりますので、これを許可いたします。 63 ◯教育長(古川仲二君)午前中の上山議員の代表質問の中での再質問につきまして、農業高校の施設設備について直接的な国の支援はない旨、答弁いたしましたけれども、確認いたしましたところ、農業を含む専門学科に係る施設の整備について、国の補助制度は設けられておりましたので、おわびして訂正させていただきます。  まことに申しわけございませんでした。 64 ◯議長(柴立鉄彦君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 65    △ 日程報告 ◯議長(柴立鉄彦君)二月二十七日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。       ───────────── 66    △ 散  会 ◯議長(柴立鉄彦君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十七分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...